モラトリアムの女たち Vol.6

「男とホテルにいたでしょ」夫の前で暴露してきたママ友。狼狽える女に、夫の反応は…?

何不自由ない生活なのに、なぜか満たされない。

湾岸エリアのタワマンで、優しい夫とかわいらしい娘に囲まれ、専業主婦として生きる女。

ーあのときキャリアを捨てたのは、間違いだった?

“ママ”として生きることを決意したはずの“元・バリキャリ女”は、迷い、何を選択する?

◆これまでのあらすじ

専業主婦として育児に専念する、元バリキャリ女子の未希。しかし、ワーママぶりを見せつける華子やママ友との出会いにより、復職したいという思いが強まっていた。

そんな中、前の会社の同期・梶谷から急に呼び出され、再会を果たすが…?

▶前回:元同僚の男から、ホテルに誘われ…。幸せな結婚生活を送っているはずの女が、出した答え


「…今日、お子さんは?」

「藤沢の両親のところです」

コンラッド東京の28階にあるラウンジ『トゥエンティエイト』にて、前職で同期だった梶谷と、およそ2年ぶりに対峙していた。

「なんだ、てっきり連れてくると思っていたよ」

梶谷の乾いた笑いに、未希は静かにうなずく。

彼の言うように、咲月を連れてくる選択肢はあったし、その方が助かった。しかし何となく、この男の前に我が子を連れてきたくないという思いがあったのだ。

「抱っこするの楽しみにしていたんだけどなぁ」

軽い口調に、距離を詰めようとしている梶谷の意志を感じる。しかし未希はあくまでも、敬語を貫くのだった。

「で、渡したいと言っていた盾はどこにあるんですか」

「ああ、うん。これ…」

梶谷は自社のロゴが入った紙袋から、未希が在籍当時に取った社長賞の表彰盾を取り出した。

それを受け取った未希は、すぐに中身を確認すると「わざわざありがとうございました」と言って席を立つ。

「え、もう…!?」

梶谷は慌てて立ち上がると、未希の背中に向かって叫んだ。

「松尾!…俺、結婚するんだ」

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