パンドラの箱~禁じられた一手~ Vol.1

パンドラの箱~禁じられた一手~:深夜2時のリビングに、妻のあらぬ姿が…。寝室を抜け出した夫の行為

―絶対に、してはならない。

そう禁じられるほど、その行為をしたくなるのが人間の性。

ギリシャ神話でもこんな話がある。

美しいパンドーラーという女性が、神から開けることを禁じられていた箱を開けてしまった。するとそこから、さまざまな災いが広まったという。

禁じられた一手を我慢できないという人の性質は、現代においても変わらない。

それを犯した人間の、未来に待ち受けているものとは…?


僕は、周りから“良い夫”の見本のようだとよく言われる。

外資系投資銀行で働きはじめ7年、今年で30歳。

収入は額面で3,000万を超える。酒癖も女癖も悪くない、休日には妻の麻里に手料理だって振舞う。

「私、本当に幸せ…」

僕のプロポーズに、そう言って目を潤ませた麻里の言葉に、嘘はなかったはずだ。

彼女は結婚するまでCAとして働いていたが、もともと仕事にやりがいを見出していなかったため、結婚後すぐに専業主婦となり、この広尾のマンションで愛犬のチワワと悠々自適な日々を送っている。

結婚して1年、僕たちは幸せな新婚生活を送っていたはずだった。

なのにここ数か月、麻里の様子がどこかおかしい。具体的にこれといった大きな変化があるわけじゃないが、心ここにあらずといった感じが続いている。

―そして、今。

彼女の心を惑わす、その正体を掴めそうなのだ。

ベッドに入って、1時間。僕がすっかり眠りについたと思ったのだろう、そっと布団を抜け出し、麻里はひとり薄暗いリビングに向かった。

時計の針は深夜2時を指している。

麻里に気づかれないよう、僕もそっと寝室を抜け出し、彼女のあとを追った。

【パンドラの箱~禁じられた一手~】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo