モラトリアムの女たち Vol.4

「家事なんて外注すれば」復職を迷う元・バリキャリ主婦のプライドを傷つけた、女の発言

何不自由ない生活なのに、なぜか満たされない。

湾岸エリアのタワマンで、優しい夫とかわいらしい娘に囲まれ、専業主婦として生きる女。

―あのときキャリアを捨てたのは、間違いだった?

“ママ”として生きることを決意したはずの“元・バリキャリ女”は、迷い、何を選択する?

◆これまでのあらすじ

元々バリキャリ志向だが、現在は育児に専念中の未希。ワ―ママぶりを見せつけるママ友・華子に翻弄されながら、復職へ心揺らぐ日々を過ごしていた。

そんな中、前の会社の同期・梶谷から連絡があり…?

▶前回:「仕事が育児の息抜きなの」“充実ぶり”をアピールするワーママに、専業主婦の女が放った一言


「佐橋さん、ここにメセン下さい」

「め、メセン?」

代々木公園の木漏れ日の中、未希は咲月を抱き、慣れないポーズを決めていた。目の前には華子を含む数人の撮影隊と、ふう君を抱くまりあの姿がある。

「カメラ目線の“メセン”ね。カメラマンがあげている手の辺りを見て」

華子のアドバイスに、未希は慌てて目線を合わせる。

その日、未希は華子の依頼で育児雑誌の撮影に参加していた。

華子の勤務する出版社が発行している、育児雑誌のスナップページ。そこに掲載する人が足りず、急遽お呼びがかかったのだ。

未希の次に撮影が始まったまりあは、やけにこなれている。ファッションも親子コーデで決めて、かなり張り切っているようだ。

最初は断るつもりだった、華子の誘い。しかし、まりあがやけに乗り気で断りきれなかった。

ちなみに、その育児雑誌は華子が担当しているものではない。彼女はどうやら、未希たちを心配してわざわざ来てくれたらしい。

未希は撮影隊と談笑する華子を、冷ややかに眺める。

―“仕事している私”を見せつけたいだけかしら。

またイヤな想像を膨らませてしまった自分に、未希はハッとする。その気持ちを払拭するかのように、慌てて笑顔を作るのだった。

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