『お誘いありがとう。個展おめでとう!ぜひ行かせてね』
個展の連絡をくれた女友達にそうメッセージを打った後、彼氏・京介への返信の文面を考える。
『ごめん、明日は外せない用事が入っちゃって。また連絡するね』
ーどちらかを選ばなきゃいけないのなら、友達の開く個展、一択。
大切な友達が「いつか実現したい」とずっと前から言っていた個展だから、という理由も一つある。
だけど、それだけではない。
案内された会場を見る限り、当日イベントにはいろんな人が訪れそうだ。その業界の人も多いはずだし、普段は知り合えないようなジャンルの人々が集まるだろう。プライベートの面でも仕事の面でも、人脈が広がることは間違いない。
ー京介とは、明日じゃなくても会える。
◆
金曜日は友達の個展イベントを満喫し、京介と会うことになったのは日曜日、待ち合わせは夜。
愛莉はその日も忙しく、午前中に少し残っていた仕事を終わらせた後、しばらく行けていなかった美容院とネイルサロンの予約をハシゴし、待ち合わせ場所へと向かった。
顔を合わせるやいなや、京介はどうにも機嫌が悪い。
「どうしたの?京介。金曜日はごめんね」
「前から思ってたけど、愛莉は仕事もプライベートも、忙しすぎない?俺の優先順位、低すぎない?」
「え…?」
ー私にとっての、京介の優先順位…。
京介は同い年の会社員。付き合い始めの頃は、同年代にしては大人びているように見えて、知識も幅広い上に豊富で、一緒に過ごす時間は愛莉にとって充実していた。
だから、忙しい中でも時間を作って、会える時間を大切にしていたのだ。
ーでも、最近の京介は自分に余裕が無さすぎる。
「愛莉にとって、俺より他の予定が大事なの?」
京介がうつむきながらチラチラとこちらを見るように、そう問いかける。
愛莉はなんと答えようか一瞬考えた後、京介をまっすぐに見た。
この記事へのコメント
彼氏と一緒に個展に行く
個展に行ってから彼と食事
という選択はないの?
しかし個展は前から日程分かってないのかな??
「美しい」と言っても、美貌だけじゃなくて、人脈とか恋人とか内面の話も入ってるし。
何より、人任せでなく自力で稼ぐっていうのが、他シリーズの美貌にこだわる女性とは格が違うと思う。
ただ、これだけストイックだと、家庭においては家族にストレスを与えがちだから、そこは考えた方がいいとは思うな。
分かるんだけどさ、何か釈然としない。