SPECIAL TALK Vol.67

~ネガティブなマインドでは何も勝ち取れない。自分を信じ通すことが、勝負強さの鍵になる~

絶対王者の努力を知り、負けていられないと奮起

金丸:ゴルフはすぐに上達したのですか?

古閑:花開いたのが、始めて4年目くらいでした。中学2年生のときに日本ジュニアゴルフ選手権や世界ジュニアゴルフ選手権で優勝し、本当にプロの道が見えてきました。それからは、父も「野球選手に」と言わなくなりましたね(笑)。

金丸:でも、中学・高校と活躍したとしても、いきなりプロゴルファーになれるわけではありませんよね。

古閑:そうですね。清元登子先生(元・日本女子プロゴルフ協会会長)に出会い、師事できたのは幸運だったと思います。師匠の理論は「一に練習、二に練習」。三になってようやく、「脇を締めて振り下ろせ」「打ったあとにボールがくっついている長さが大事だ」と。で、「四に練習、五に練習」。

金丸:また練習(笑)。練習しかないんだな、と。

古閑:「ゴルフはやったらやっただけ上達する」というのが師匠の口癖でした。そういう意味では、自分で言うのも何ですが、私が生まれ持った才能を一番使えなかったのが、ゴルフなんです。

金丸:そうなんですか?

古閑:ゴルフは身体能力や才能以上に、努力をいかに積めるかどうかが鍵なんです。男子プロの世界だと話は少し違って、トップレベルの選手になるには、ある種の才能が必要だと感じますが。

金丸:にわかには信じられません。

古閑:私の周りでも不動裕理さんや、りつ子(笠りつ子プロ)を見ていると、それをすごく感じます。彼女たちは「プランク」という姿勢を維持するトレーニングにめちゃくちゃ強い。でも、ちょっとねじりとか片足ずつ上げてみると、すぐに崩れちゃうんですよ。

金丸:不動さんというと、一時期、女子プロの世界で絶対王者として君臨していました。そういう人ですら、運動神経があるわけではない?

古閑:と思います。それでも億以上稼ぐんですから、すさまじいですよね。練習しないと絶対に勝てない。負けるのは何より嫌だから、練習する以外ありません。

金丸:そういう古閑さんの気質と清元さんの教えは、相性がよかったのかもしれません。

古閑:ただ、師匠の教えをきちんと消化できるまでに、相当時間がかかりました。不動さんも熊本出身で清元先生に師事していたので、一緒に練習していたのですが、師匠に最初に言われたのが「不動のやってることをできるようになりなさい」でした。

金丸:やってることというのは、練習のことですか?

古閑:ええ。最初はピンと来なかったんですよ。でも不動さんの練習量を知って驚きました。オフには毎日10時間くらい、技術の練習に費やすんです。週1回の休み以外は。ついていけるようになるまで、私は3ヵ月くらいかかりました。

金丸:トップレベルともなると並大抵ではないですね。

古閑:朝8時に練習場に集合し、球拾いと打席の掃除をして、9時に打ち始めます。12時にランチと休憩。きっちり13時から再開し、自分のキリのいいところでパター練習やアプローチ練習を18時くらいまでやり続けます。

金丸:本当に一日中ですね。

古閑:でも、家から練習場まで15分くらいだったので、朝は7時に起きれば十分間に合うし、練習は18時に終わるから、そのあと友達と飲みに行っても、0時に寝れば7時間は睡眠が取れます。

金丸:とてもじゃないけど、私だったら若くてもそんなのできる気がしない(笑)。

古閑:すると、あるとき師匠が「あんた、いつになったら不動と同じことやるの?」と。

金丸:えっ? 同じメニューをこなしていたのでは?

古閑:「いいかげん気づきなさいよ。不動は朝5時に起きて、ランニングしてストレッチして素振りして、朝7時にご飯を食べて、練習場に来てんのよ」と。

金丸:えぇ……。

古閑:その時点で私の負けです。だから私も同じことをやり始めました。そうすると、寝る時間を確保するために、遊びにも行かなくなりました。

金丸:それをきっかけに、古閑さんは本気になったんですね。

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