2020.04.21
SPECIAL TALK Vol.67粘り強さを支えた確信。「7打差なら逆転できる」
金丸:お話を伺っていると、不動さんという絶対王者の存在は、古閑さんにとっても大きかったんですね。
古閑:実は師匠に「あんたは不動みたいにはなれない」とずっと言われていたんです。
金丸:それはなぜでしょう。努力と才能の差ですか?
古閑:「ハングリー精神がない」と。そもそもプロになったときも、「ゴルフで2、3勝できる選手には育ててあげるから、その間にいい人を見つけなさい」って。実際、師匠のつてで、お見合いさせられそうになったこともありました。
金丸:でも古閑さんは、一度、賞金女王にまで上り詰めましたよね。
古閑:「燃えはじめるまでに、どれだけ時間がかかるんだ」と師匠は思っていたでしょうね。
金丸:私は「古閑美保といえば逆転勝利」というイメージがあります。負けん気の強さや粘り強さというのが、古閑さんの持ち味ですよね。
古閑:プロになって最初のうちに逆転優勝を経験したことが、自分の強みになったと思っています。2勝目が7打差を追いついて、プレーオフに持ち込んだ末の逆転優勝でした。だから「最終日のスタート時点で7打差までなら勝てる」って思っちゃってるんです。
金丸:さらっとおっしゃったけど、とても重要なマインドです。
古閑:そのとき5打差で逆転していたら、5打差が限界になっていただろうし、逆に8打差で勝っていたら、8打差までいけると思えたでしょうね。大抵の選手は「7打差の逆転は無理だ」と思うでしょう。無理だと思っている人と、できると思っている人の一打は絶対に違います。
金丸:一打の違いが大会4日間分積み重なれば、相当な開きができますね。
古閑:逆に逃げ切りで勝てたのは、1回だけですが(笑)。
金丸:2008年に賞金女王を決めたときも、古閑さんが粘るなかで、ほかの選手たちが崩れてという展開でした。しかも、優勝が決まった瞬間、お父様が抱きついてきて。
古閑:父はその年に脳梗塞で倒れました。その後ほとんど回復したのですが、あのときはまだ足をひきずっていて。
金丸:そんな状態でも駆けつけるし、「美保」と名前が書かれた帽子をかぶっている。お父様の愛情はものすごいと思います。「野球選手に」という夢は達成できなかったけど、あれほどの親孝行はないですよ。
古閑:うちの父はほかにも変わったところがあって、たとえば野球で私がミスしたときも、「美保は悪くない。俺の教え方が悪いんだ」と言う人なんです。実は、師匠も「プロとして自分で稼げるようになれなければ、それは師匠である自分の責任だ」という考え方で。
金丸:お二人とも、本当に立派な方ですね。
古閑:父とかぶるところがあったから、私も「この人についていこう」と思えたんです。
金丸:そういう姿勢は、今の日本社会に最も欠けているのかもしれません。学校も職場も、ミスすればすぐマイナスにする減点主義ですからね。
古閑:「自分が悪い」と一度思ってしまうと、これほどメンタルをずたずたにするスポーツは、ゴルフ以外にないですよ。すごく繊細で、完璧なんて絶対ありえない。ミスが当たり前という競技がゴルフなんです。
金丸:それこそミスを恐れていては、何も始まりません。本来はスポーツもビジネスも、ミスして当たり前と思っていれば、思い切った挑戦ができるものなのに。
古閑:失敗を引きずって、自分を責めてはいけません。生まれ持った性格もあるのかもしれませんが、私は失敗したことを反省するよりも、勝つためには、つまり未来のために何をしたらいいか、ということをいつも考えるようにしていました。
金丸:そのマインドは大事ですね。その後、左手首を故障して、2011年にトーナメントプロから引退されます。ここまで打ち込んだゴルフの一線から離れるというのは、さすがにつらかったのではないですか?
古閑:それが、引退してはっきりわかったんですけど、私、ゴルフ自体には全然興味がなかったんだな、と。
金丸:えっ!?どういうことですか?
古閑:ゴルフが楽しいからではなくて、勝負に対して燃えていたんです。だから人の試合を見ていても、ゾクゾクしたり、ワクワクしたりという感覚が生まれない。だって、言ってしまえば他人事ですからね。
金丸:なるほど。実際に自分が勝負していないと、同じ感覚にはならないということですね。
古閑:「ゴルフは仕事」という感覚がすごく強かったし、人に負けたくなかった。「今、この瞬間、あの人は練習しているかもしれない」と思うと、朝の眠さもはねのけられたんですけど。
金丸:そのストイックさで、よく途中でパンクしなかったですね。
古閑:だから引退が早かったのかもしれません。9年というのは、ゴルファーとしては短命ですから。
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