元・夫婦 Vol.13

2019年ヒット小説総集編:「元・夫婦」

“夫婦”

それは、病めるときも健やかなるときも…死が二人を分かつまで、愛し合うと神に誓った男女。

かつては永遠の愛を誓い生涯のパートナーとして共に暮らしたはずなのに、別れを選んだ瞬間、最も遠い存在になる。

離婚から10年。園山美月(35)は、もう二度と結婚はごめんだと、仕事に没頭していた。

もう2度と会う事はないと、思っていたのに―

偶然の再会を果たした2人の間に、元夫婦の複雑な感情が芽生え始める…。


2020年も頑張りましょう。昨年2019年のヒット小説総集編、「元・夫婦」一挙に全話おさらい!

第1話:愛した男に捨てられた過去。再起をかけた35歳バツイチ女を惑わす、残酷な運命

今日は、美月が設立したモデルプロダクションのレセプションパーティーだったのだ。パーティーをなんとか無事に終え、二人のスタッフとともに三次会を楽しんでいた。

三次会といっても、事務所での簡単な打ち上げだ。お祝いにもらったシャンパンを開け、ようやく一息吐く。

モデルプロダクション「Chel-Sea(チェルシー)」には、社長の美月のほかに二人のスタッフ、そして三人の女性モデルが所属する。まだ規模は小さいけれど、いずれは世界で活躍するモデルを多数抱えるのが目標だ。

美月は、夢に向かっての第一歩を、今日ようやく踏み出したのだ。

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第2話:「あの時の、子供?」過去に夫を奪われた女の古傷をえぐる、衝撃の真実

―こんな形で再会することになるなんて…。

自分の元夫が、契約にやってきたモデルの父親だという現実を、美月はなかなか受け入れられずに、茫然と立ちつくすしかなかった。

「小春。この事務所と契約は出来ない」
「どうしてそんなこと言うのパパ!?」
「とにかくダメだ、帰るぞ!」

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第3話:悲劇的な再会で心乱された女に、真夜中の電話。助けを求める声の主とは?

「円満離婚なんて、絶対にこの世に存在しません。だから芸能人の離婚理由なんて全部うそ。だいたい円満だったら離婚なんてしないはずよ…」

六本木の『マデュロ』で、美月はビアカクテルを煽りながら、一気にまくし立てた。

「これ、本当にアルコール入ってるのかしら? ああ、今日は全然酔える気がしない」

元夫との再会に心を乱されていた美月は、ある男を呼び出していた。

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第4話:「お前は、一人でも生きていける」。禁忌を犯した男が妻に下した、残酷な決断とは

世界に羽ばたくモデルをこの手で育てるという夢に、小春との出会いで手が届きかけたと思った。

しかし、まだ二人の関係を知らない小春のことを、このままだと巻き込んでしまう。どうにか騙し騙し進めても、いつかはほころびが出るだろう。

「小春からは手を引く。もう、二度と関わらない。」

契約を白紙に戻す。これ以上誰も傷つかないようにするには、この方法が最善だろう。美月はパソコンを起動し、ある一通のメールを送ったのだった。

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第5話:「彼は、私の元夫」。悲惨な過去を打ち明けた女に降りかかる、さらなる試練とは

―小春ちゃん、どこにいるの…?

美月は人をかき分けて竹下通りから裏道まで、スカウト待ちをしているという小春を探し回っていた。暫く駆け回っていると、すらりと背の高い見覚えのある姿が目に入る。

しかし、小春と思しき女の子は怪しい男に促され、黒いバンに乗り込もうとしているところだった。

「小春ちゃん!!」

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第6話:「もうこれ以上、隠し通せない…」。赤の他人に暴露された、元夫婦の過去

「飛行機に間に合わないって、どういうこと!?」

まるで夫婦だったころの待ち合わせのような口ぶりで、裕一郎は電話越しに「後から追いかける」と、言い出した。

「そんな簡単に言うけど、飛行機、1日に何本もないのよ?だいたい小春はどうしたのよ。彼女がいないと撮影は…。」
「いや、すまん。今小春連れて病院に来てるんだよ。夜中に急に高熱出して、点滴打たせてたんだ」
「え!?大丈夫なの?」

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第7話:「夫を奪った、あの女が来た?」女社長のトラウマをえぐる、不吉な一本の電話

その夜、美月と裕一郎は、小春に真実を伝えることにした。まだ起きていた小春に向かって、裕一郎が言いにくそうに切り出す。

「小春、もう気づいているかもしれないが…」

すると小春は、平然とした顔で答える。

「パパと美月さんが昔結婚してたってこと?それならとっくに知ってる」
「えっ…」

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第8話:「男なら誰でも虜になる」。元カレさえも魅了した、魔性の女との直接対決

小春の母親である乾 優香子は、美月の不在時に東京の事務所に突然現れて、娘をやめさせたいと高岡に迫ったらしい。

たまたまその場に居合わせた高岡は、親会社の人間で、かつ出資者ではあるが、「Chel-sea」の業務内容についてはノータッチだ。しかし、場数を踏んでいるだけあって、優香子をうまくフォローしつつなんとかその場を収めてくれたようだ。

小春の撮影は大成功に終わったものの、東京に戻る美月の足取りは重かった。羽田空港から直接学校へ向かう小春を笑顔で見送ると、どっと疲れが出て、しばらく空港のロビーでうなだれていた。

すると、そこに突然現れたのが、この男・高岡だ。

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第9話:「夫を貴女にお返しします」10年前の罪をようやく認めた女。彼女がとった最低の行動とは

芸能事務所で働いていると、同じような場面にはたびたび遭遇するのだ。親と一緒に子供を説得することもあれば、子供のために一緒に親を説得することもある。

小春の場合、親たちの過去の関係性があまりにも特殊だという点がある。

ただ、そこは「私情を持ち込まない」という小春との約束を尊重し、優香子とは腹を割って話さなければならないと思っていた。

しかし、話はまったく想像していなかった事態へ向かっていくのだった。

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第10話:新人モデルに訪れた、絶体絶命の危機。信じられないスクープ写真の真相とは

リビングのテーブルに広げられた数々の写真を見て、優香子はガタガタと震え始めた。

「そんな…信じられない…小春がどうして…」

そこには、大きく見出しと記事を入れた、ゲラと呼ばれる見本原稿まで用意されていたのだ。

芸春砲と呼ばれるスクープで有名な週刊誌の記者の男は、美月と優香子の目の前で、ニヤニヤといやらしい笑いを携えていた。

第10話の続きはこちら

第11話:夫を奪われ、惨めに捨てられた女。10年かけて、ようやく苦しみから解放されたワケ

美月が立ち上げた「Chel-sea」は、順調に業績を伸ばしていた。

看板モデルは、もちろん小春だ。CM出演、雑誌のカバー、そして日本に進出した海外ブランドのメインモデルに起用されるなど、活躍の場を広げている。

そして立ち上げから1年経った今、所属モデルが増えたためスタッフも増員し、仕事の案件も増え、いよいよモデルプロダクションらしくなってきた。

美月は先を見据えて、ある決意をしていた。

第11話の続きはこちら

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