2019.11.21
SPECIAL TALK Vol.62海外から見ることでわかる日本の地方に眠る可能性
金丸:吉田さんの今後の夢を聞かせていただけますか?
吉田:夢というほど大きなものはありません。私は運良く、目の前にある階段を上っていくことを繰り返して、ここまで来られたと感じています。でも「あれをしたい」「これをしたい」という好奇心はいつもあります。デザインはもちろん、本も書きたいし、講演もしたいですし。
金丸:吉田さんは自分の好奇心に素直ですよね。好奇心がないと人は成長しません。向上のエンジンは好奇心ですから。
吉田:そうですね。好奇心で突き進んできた感じです。思い返すと、「私はこういうことがしたい」と周りの人に伝えて行動に移す、ということを繰り返してきましたね。
金丸:今の日本を見ていて、何か感じることはありますか?
吉田:実は、30年前に日本を出たときから、インテリアの世界ってあまり変わっていないなと感じています。
金丸:それは進歩がない、ということですか?
吉田:いえ。おそらくデザイナーは自由な発想をしたいけれど、その考え方や視点が日本では受け入れられないのかな、と。
金丸:やっぱり日本人はみんな、列からはみ出したくないんですかね。
吉田:仕事の面で言えば、デザイナーの間でも「日本は世界の商談のなかで一番時間がかかる」と言われています。「イエスマン」という言葉がありますが、日本人は「イエス」と言う割には、物事がなかなか決まっていかないとよく聞きますね。
金丸:それは深刻な問題です。スピードが遅いのは、物事の進め方自体に問題があるわけで、特に未知のものに挑戦しようとするときは、それが顕著に表れる。本来、未知なるものについて精緻な計画なんて存在し得ないんだけど、トライ・アンド・エラーという概念がないから、とにかく計画を立ててしまう。
吉田:でも実態は違うわけですから、計画と実行の間にギャップができておかしなことになりますよね。
金丸:しかも、そのギャップを途中で誰も指摘しないし修正もしないから、最後の最後になって「最初の計画がまずかった」ということになる。計画がまずかったのは途中からわかってるんだから、せめてそこで計画を変えればいいのに、って思いますよね。
吉田:アメリカの場合はまず大きな土台を決めて、そこから細部に入っていきます。スピーチにしても最初に結論を伝えてから、そこに至るプロセスを話します。そうした違いの根本には、アメリカと日本の教育の違いがあるのかもしれません。日本では、一人ひとりがもっと物事を考える力をつける教育が必要じゃないかと。
金丸:そうですね。クリエイティブな思考が必要だと思います。
吉田:でも私は、日本の地方には可能性を感じていますよ。日本に来るたびに、可能な限り日本各地を訪ねるようにしています。素晴らしいものを作っている職人さんやメーカーのみなさんにお会いして、「一緒にお仕事をしませんか?」とチーム作りを呼び掛けているんです。フリーの立場なので、そんなに大きなことはできませんが。
金丸:それは、ひとりで飛び込むんですか?
吉田:ええ。「会ってください」と言って。「ノー」という人はほとんどいません。
金丸:吉田さんは、こうしたいと思ったらすぐ実行に移す決断力と行動力がすごいですよね。私も地方には大きな可能性を感じます。地方には希少価値の高いものがたくさん眠っていますが、ただ向こうからは出てこないので、こちらから引き出さないといけません。
吉田:それに思うのは、日本のいいものを見つけてそのままニューヨークに持っていったとしても、何か違うんですよね。何かが欠けている。だから、私は「グローカル」にありたいと思っています。グローバルな視点で見ながら、ローカルのいいものを生かして地域の発展につなげていく。そんなことを地方の方々と一緒に取り組んでいきたいです。
金丸:吉田さんは受験に失敗したことで、人生が大きく開けました。子どもの学力について心配している親御さんに、何かメッセージをいただけますか?
吉田:実は、子どもの向上心やクリエイティブを育てるインテリアデザインというのがありまして。
金丸:えっ! めちゃくちゃ興味があります(笑)。
吉田:子どもの動線をデザインするために、部屋のどこに何を配置するかを考えるんです。たとえば「手の届く位置に教科書があるかどうか」だけでも、子どもには大きな影響があります。アメリカでは年齢によって子ども部屋にもいろいろと手を加えるのですが、日本でも部屋が狭いからこそ、工夫の仕方があります。
金丸:生活に密着しているインテリアデザインには、いろいろな可能性があるんですね。今後は日本でも、これまで以上にご活躍されるのを期待しています。本日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。
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