今とは違う“何者か”になりたい。
ここ東京では、そんな風に強く願い行動した者のみが掴める、成功や幸せがある。
彼らは「勝ち組」・「成功者」と称され、周囲から、羨ましがられ、時に妬まれる。
しかし、ご存じだろうか。
彼らは、その影で、ジレンマに苛まれ様々なコンプレックスと戦っていることを…。
この連載では、そんな「勝ち組」となった彼らの、その後のリアルストーリーをお届けする。
Vol.1 理想の結婚を手にしたはずの女
名前:小川麻里(仮名)
年齢:27歳
職業:英会話講師(アルバイト)
「久々の銀座だからテンション上がっちゃって、お洒落してきちゃいました♪」
平日の夕方、『キル フェ ボン』に姿を現した麻里は、ルンと声を弾ませた。
彼女は、全身からフワフワとした空気感を漂わす、いかにもモテそうな可愛らしい女性だった。155cmほどの身長に、華奢なハイヒールを履き、全身白と淡いピンクでコーディネートされている。
「私、小さいころからディズニープリンセスが大好きで、そんなおとぎ話に出てくるような“幸せな結婚”っていうものに、並々ならぬ憧れを持っていたんです」
幼い頃を懐かしむような目をしながら、そう呟く麻里は、総合商社に勤める夫と23歳のときに結婚。その後すぐに夫のニューヨーク駐在が決まり仕事を辞め、憧れだった駐妻ライフを3年ほど経験し昨年帰国したそう。
お姫様願望の強い麻里にとって、きっと今の暮らしはとても幸せなのだろう。
しかし、ちょっと目を離している間に、麻里はスマホをスクロールしたと思ったら、眉間に皺を寄せて大きな溜息をついた。
何が彼女をそんな表情にさせるのか、理由を尋ねた。
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