2019.11.13
勝ち組の遠吠え Vol.1理想の結婚を手に入れたものの...
「大学に入ってから、早速、将来の夫探しを全力ではじめました」
ペロっと舌を出しながらおどけた麻里は、小悪魔っぽい表情を見せた。
大学2年生の時に、麻里の所属していたテニスサークルにOBとして時々顔を出していた4つ上の先輩と付き合い始める。
「私、英語の勉強はそこそこ頑張ってて、実は結構しゃべれるんです。キャンパスで留学生と英語で会話していたところを彼が目撃したらしく、その姿に一目惚れしてくれたみたいなんです♡彼、商社マンだったし、将来は駐妻になれるかも!って期待して、すぐに付き合うことにしました。それに、学生の頃は、社会人の彼がとってもかっこよく見えたんですよね...」
3年程付き合って、麻里が社会人1年目になった時にプロポーズされ、結婚するに至った。
その後思い描いていたシナリオ通り、彼のニューヨーク駐在が決まり、麻里は23歳という若さで迷うことなく退社し、彼の駐在について行った。
元々「理想の男を捕まえて結婚をすること」が全てのモチベーションだったため、仕事には全く未練がなかったそう。
「あの時は、人生で最高に幸せな時でしたね。大好きな彼と結婚できて、しかも彼は理想的な夫。誰よりも早く会社を辞めて駐妻になって。結婚式で、みんなから向けられた羨望の眼差しの中には、嫉妬の感情が見え隠れする視線もあったりしましたけど、とにかく優越感というか、達成感でいっぱいでした♡」
駐妻ライフをSNSにあげれば、数多くのイイねやコメントが付き、知らない人からも多くフォローされていたという。
憧れていた幸せな結婚をつかみ取ったはずの麻里に、「何故、そんなに大きなため息をつく必要があるのか」と、本題に切り込んでみると、こんな答えが返ってきた。
「日本に帰国したら、急にタイムラインに表示される会社の同期や学生時代の友人たちの日常が煌びやかに見えてきちゃったんです。充実した仕事振りとか、キラキラしたアフター5とか。いつの間にかみんな綺麗になって、少しは自由なお金を手にしてて。
私が知らない世界をみんなが楽しんでいたんです。まるで浦島太郎にでもなった気分でした。私は日本に帰国したら一気に現実に引き戻されて、特に投稿する華やかなものもないし」
なるほど、麻里は現在住んでいる三鷹での所帯じみた専業主婦生活と、友人らの華やかな東京ライフとの間に大きなギャップを見出してしまったようだ。
27歳だと結婚していても仕事を続けている友人が大半で、そんな彼女たちがまぶしく映ってしまうという。
「私もみんなの輪に入りたいって、就職活動してみたんですけど…」
人気のキラキラした企業からは全く採用してもらえなかった。結局今は、小学生の子供に英語を教える仕事をしているとのこと。
「友人たちには、“英語を使った仕事をしている”って適当に言っていますけど、雇用形態はバイトだし、単語の正しい発音を教えるレベルだけなのが実態です…」
高学歴で英語が話せるとは言え、社会人経験1年未満の既婚女性という肩書では、就職活動は厳しいのが現実らしい。しかも夫が商社でいつ海外勤務になるかわからない状況では、尚更だろう。
駐在となると、会社から手厚い補助が出るため、現地ではかなり良い暮らしができる。しかし、東京に戻った後は、そういはいかない。いくら夫が商社勤めとはいえ、生活感のある日々を淡々と送るのが現実だ。
「ディズニープリセンスの物語では、主人公は結婚して”めでたしめでたし”って締めくくられるけど、現実の世界では、その”めでたし”の先に70年近い日常が待っているんですよね。ちょっと考えたら分かることなんですけど、この年になってようやく気付きました...」
人生の目標を見事に達成した麻里だったが、その後に待ち構えている日常にまでは考えが及ばなかったらしい。
現在麻里は、夫がまた海外転勤になり、華やかなSNSを更新できる日を今か今かと待ち望んでいる。夫の転勤事情に依存せず、麻里が新しい目標を見つけ、また目を輝かせる日は来るのだろうか。
▶Next:11月20日 水曜更新予定
地方銀行に就職したが、東京でモテ人生を送ることになった男が登場
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
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