
駒沢の裏通りに店を構えて3年目。予約客はひきもきらず、まさにいま“脂がのっている”状態の『鮨辰』。人気の秘密は店主・浜野章さんの握りの技術の高さ。そして、築地から仕入れる抜群のネタを扱いながら、おまかせコースが1万3000円からというコストパフォーマンスの高さだ。築地通いが日課の浜野さんは「いまは7軒の仲卸さんとお付き合いさせていただいていますが、貝類を仕入れるのはそのうち2軒。ただ、今年は水温の関係でなかなか漁獲が難しいようです。それでも、妥協はしたくない」と話す。
ホタテや赤貝のように、1年を通して味わえる貝もあるが、その多くには、ほかの魚同様、旬がある。旬を迎えた貝は旨み成分のグリコーゲンをたっぷり含み、身には弾力がある。浜野さんいわく「活けや蒸し、包丁の入れ方で味わいが変わるのも貝の面白いところ。それぞれの個性をきっちり“活かす”仕事をするように心がけている」
はらりとほぐれるシャリとともに貝を味わえば、口中にふわり初夏の風が吹く。