呪われた家 Vol.10

「女は浮気する・・・」そう思い込み嫁を罵倒する男の、悲しい過去とは

結婚と同時に女に待ち受けるのは、“義実家”という呪縛。

奇妙な風習、監視の目、しきたり、そして義家族たちの薄笑い…。

夜な夜な響くその声は、幸せでいっぱいだったはずの新妻の心を蝕んでゆく。

◆これまでのあらすじ

看護師の岡林沙織(26)は、恋人の清川宗次郎(28)からプロポーズを受け、1年の交際を経ていよいよ結婚することが決まった。

幸せなはずの新婚生活を脅かす清川家のしきたりと、義姉の朝美による嫌がらせは沙織の心を追い詰めていく。

少しずつ明るみになっていくこの家の異常さ。限界を感じはじめた沙織に妊娠疑惑が…?


―病院に行かなきゃ…。まずは検査薬を買ってこよう。

今朝はひどい吐き気とめまいで起き上がれず、ベッドの中で出勤する宗次郎を見送った。

この家では「夫の出迎えや見送りは玄関で三つ指つく」というのがしきたりなので、この姿を義母の千鶴子に見られたらショックで卒倒するだろう。

―もし妊娠していたら…。

沙織は、そっとお腹に手をあてる。宗次郎は間違いなく喜んでくれるだろう。なるべく早く子供を持ちたいというのは宗次郎の希望で、沙織もその日を楽しみにしていた。「沙織によく似た女の子がほしい」と気が早いことを言っていたが、男児を産めというこの家のプレッシャーを配慮してくれていたのかもしれない。

もし、女の子だったら…。しきたりに背くことになるので、沙織は責められるだろう。この恐ろしい家で、どんな罰が待ち受けているのかと思うと身震いする。

でも、もしかしてそれは、この家から離れるチャンスかもしれない。

そのとき、沙織は自分が心のどこかで結婚を諦めようと思っていたことに気づかされる。

まだ入籍前で結婚式の日取りも決まっていない。逃げるなら今しかないと、ぼんやりと考えていたのだ。

「さすがにまだ、気が早いね」

自分のお腹に語りかけるように沙織は言うと、身支度をしようと寝室を出た。

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