女にとって、人生で最も幸せなときと言っても過言ではない、“プロポーズから結婚まで”の日々。
そんな最高潮のときに婚約者から「別れ」を切り出された女がいる。
―この婚約は、なかったことにしたい。全部白紙に戻そう。
澤村麻友、29歳。
夫婦の離婚とも、恋人同士の別れとも違う、「婚約解消」という悲劇。
書類の手続きもない関係なのに、家族を巻き込み、仕事を失い、その代償はあまりにも大きかった。
ーさっさと忘れて先に進む?それとも、とことん相手を懲らしめる?
絶望のどん底で、果たして麻友はどちらの選択をするのか?
寿退社した後、4ヶ月間のカナダへの短期留学を終えた麻友。帰国した麻友に届いた婚約者の松川良輔から届いたLINEは、「婚約を白紙に戻したい」というあまりにも非情なものだった。
夢だと信じたいのに、結局一睡もできなかった。
時計を見ると、もう9時近い。麻友はベッドから出ると、シャワーを浴び、しっかりとメイクをする。
きちんとした服に着替え、コーヒーを淹れる。日常のルーティーンを黙々とこなしているつもりでも、コーヒーカップを持つ手が震え、うまく飲む......
またはアプリでコイン購入をすると読めます
この記事へのコメント
この男、婚約破棄がこんなに簡単に済むと思っているところ、老舗のお店経営も危ういのでは。
これじゃやましいことがあると思われても仕方ない