女たちの選択 Vol.3

「我が子と2人になるのが、怖い…」産後の美人妻を襲った、壮絶な育児ノイローゼ

—“女”の幸せとは、結婚し、子どもを産み育てることである。

そんな固定観念は、とうの昔に薄れ始めた。

女たちは社会進出によって力をつけ、経済的にも精神的にも、男に頼らなくてもいい人生を送れるようになったのだ。

しかし人生の選択肢が増えるのは、果たして幸せなことだろうか。

選択の結果には常に自己責任が伴い、実際は、その重みで歪む女は少なくない。

この連載では様々な女たちの、その選択の“結果”をご紹介する。結婚願望が強い美香(34歳)人妻の真弓(32歳)に続き、今回は出産して間もない女・由里子(33歳)のお話。


「......オギャー!という産声が部屋に響いたときは、反射的に大量の涙が吹き出したこと、よく覚えています」

由里子は重々しく口を開き、薄く笑った。

「産まれた瞬間の感動は、間違いなく“本物”でした。やっと会えた、この子を大切にしよう、私も母親になれたんだって、涙でぼやける視界の中で幸せを噛み締めたのは確かです」

由里子はつい半年前、第一子の男の子を出産したばかりだ。

隙のない化粧に、よく手入れされた美しいフレンチネイル。艶のある完璧な巻き髪は、たった今サロン帰りのようにすら見える。

だが、何故だろう。

彼女は綺麗な女であるし、外見には相当気を遣っているのは間違いない。

けれどその顔色は明らかに悪く、頰はこけて表情も硬い。

緊張でもしているのだろうか。ピリピリと落ち着きなく指先を弄ぶ様子は、彼女の魅力を半減させていた。

「私、ずっと“ママ”に憧れていました。妊娠中も幸せだったし、子どもを産んだらもっと幸せになれるって、当たり前のように思ってた。なのに...」

由里子のか細い声は、徐々に震える。

「育児が、想像以上に過酷で…。私には母性がないのかも?と何度も悩みました」

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