地味で平凡な、あの子がなぜ!?
ー今度、結婚することになったの!ー
ー仲の良かったみんなを招待させてもらいたくて...!−
それは、同級生・山崎真美からのLINEだった。中高時代に仲良くしていた4人グループのうちの1人だ。
彼女からの“ご報告”に、私は心底驚いた。いや、怒りを感じたと言ってもいい。
なぜなら真美はグループの中でも存在感が薄く、性格も外見もどちらかといえば地味な方だったから。学生時代だって、私の方が数倍モテていた。
そんな私を差し置いて、なぜ真美が先に結婚するわけ...!?
黒い感情が湧き出る間にも、スマホ画面にはグループメンバーからの次々にお祝いの言葉やスタンプが飛び交う。
慌てて私も「おめでとう!」と返信するも、とても真美の結婚を祝える心境ではない。
...しかし次の瞬間、私の気持ちは180度変わった。
仲間のひとりが尋ねた「お相手はどんな方なの?」という質問に、真美がなんと「開業医」と答えたからである。
一向にプロポーズをする気配のない優介に苛立っていた私は、“新たな候補”の発掘に抵抗がなかった。
しかも挙式はハワイで行い、私たちが招待されたのは『ブルガリ イル・リストランテ』で行われる2次会のみという気軽さだったのだ。
ーこれは...行くに決まってるわ!
たしかに私は優介が好きだ。一重の眠そうな目元も、少し斜に構えたことを言う時もあるが、基本的に育ちのいいお坊ちゃんなところも愛おしい。
だが私は、優介が考えているよりもはるかに「結婚」というものに固執している。
2次会当日に向けて、私は肌のコンディションを丁寧に整え、美容院やネイルサロンの予約を取った。
男は結局、見た目の良い女に惹かれるものだ。それから決して高飛車にならず、笑顔で相手の話を聞き、適度に持ち上げてあげる。そうすれば、男たちはたちまち私に好意をもつに違いない。
実際、2次会の会場に入った途端、私はひっきりなしに声をかけられた。
私はたちまち機嫌が良くなった。真美が医者と結婚したことは全く面白くない。しかしこうして収穫が得られるのなら、偽りの祝いの言葉を口にした甲斐があるというものだ。
しかしー。
あの冴えなかった真美が、燦然と輝くウェディングドレスを着て登場した瞬間。私は再びどうしようもない嫉妬心に支配された。
幸せそうに、開業医の夫の横で微笑む真美。
...どうして。真美よりずっと華やかで、男にモテるはずの私が、なぜ「妻」に選ばれないのだろう。
妻になれないなら、結婚できないなら、いくら男にモテたって意味がない。なんだかすべてが徒労に終わったような気分になり、2次会後半は作り笑顔をキープするのがやっとだった。
この記事へのコメント
夜食食べに行きたいって突然言い出すのもだけど、LINEに返信がないからって電話してくるのにイラっとしてしまった…。
相手の状況考えられないのかな?