今さら聞けないワインの基礎知識 Vol.21

値段の高いワインで手放しに喜ぶのは恥ずかしい!ネームバリューに囚われない、ワインの選び方を教えます。

――やっぱりシャトー・マルゴーやオーパス・ワンを片手にかっこよく語れないと、大人のワイン通とは言えませんよね?

柳「そうとも言い切れないと思うよ、クラリン。シャトー・マルゴーやオーパス・ワンはたしかに素晴らしいワインだし、それを「美味しい」と感じるならば大人の味覚をもっていると言えるかも。

けれど5大シャトーやカリフォルニアのカルトワインをしたり顔で語れることが、大人の条件ではない。」

――えっ、そうなんですか? ちなみに柳さんが「ああ、自分も大人になったな」と思ったワインって?

世間の評価に惑わされるな。己の舌で判断してこそ大人

柳「レオン・バラルの「ジャディス」かな。南仏ラングドック地方のワイン。20年以上昔の話だけど、たまたま見つけたモンペリエの酒屋で、この地方で今注目のワインがこれだと店の若造から教えてもらった。

当時はまだ、ラングドックなんてデイリーワインの供給地というイメージが強かったから、町一番の酒屋のおすすめでもたいしたことあるまいとタカをくくっていたんだが、飲んでみてたまげたね。南仏の野暮ったさがなく、ボルドーの格付けシャトーのように品がある。

そこで思った。自分は今まで、なんて世間の評判やネームバリューに囚われていたのかと……。自分の鼻と舌でワインの正しい評価で出来るようになってこそ、大人のワイン通だと思うよ。」

――さすが、柳さん。それで今、これがわかってこそ大人だってワインは何ですか?


柳「ジョージアだね。」

――缶コーヒーの?

柳「いや、旧ソ連のグルジアのこと。諸説あるものの、ジョージアはワイン発祥の地と言われている。クヴェヴリと呼ばれる素焼きの甕で仕込む醸造法は、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されたこの国独特のもの。

ブドウもこの国固有の品種だから、けっこう癖の強いワインが多いけれど、シャラウリのサペラヴィはとても洗練されていて美味しい。」

――嵩倉、本日、ジョージアのワイン飲んで、大人の仲間入りします!

柳「クラリン、たとえ飲んでも、その味がわからなければ、まだ大人じゃないからね。」

たとえば、こんな1本
「シャラウリ・ワイン・セラーズ サペラヴィ2015」

ジョージア東部のカヘティ地方に、2013年設立。ジョージアの固有品種を用い、伝統的なクヴェヴリ醸造。ブドウを果皮ごとクヴェヴリに漬け込み、4週間の醸し。さらに12ヶ月の熟成。黒系の果実に独特のスパイシーさ。滑らかな舌触りの緻密な味わい。

¥4,536/(株)モトックス TEL:0120-344-101


教えてくれたのは、柳 忠之さん

■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に親身に答えてくれる、ワインの達人

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