私のモラハラ夫 Vol.10

「ついに、夫にバレた…?」妻が戸棚の奥に隠し続けていた“ある秘密”が晒された夜

可憐な妻と優しい旦那。

わたしたちは、誰もが羨む理想の夫婦だったはずなのに。

若くして結婚し、夫の寵愛を一身に受ける真美・27歳。

鉄壁で守られた平穏で幸せな生活が、あることをきっかけに静かに狂っていく。

そしてやがて、気付くのだ。この男が、モラハラ夫だということに。


優しく穏やかなはずの夫・陽介が、ある夜から少しずつ変わっていく。

父が重病かもしれないと激しく動揺する真美に、夫が金銭的援助を提案するが、だんだんとその真意が明らかに。ある決意を固めた真美は、とうとう家を飛び出して…?


「なんだ、これ?」

颯太が、会社携帯に残された着信と留守電に気付いたのは、朝一でのアポが終わってすぐのことだった。

両方とも、発信元は公衆電話、になっている。

今時、公衆電話からの着信なんて、滅多にない。不思議に思いながらも再生ボタンを押すと、聞き覚えのある女性の声が聞こえ、颯太は慌てて音量を上げる。

「真美です。留衣の番号がわからず、颯太に電話しました。この間は本当にごめんなさい。私もようやく目が覚めました。母には心配をかけたくないので、連絡しないで。また私から電話するので、それまで待っていてください。留衣にお礼と…

ピピー、お預かりしたメッセージは、以上です。」

慌ててもう一度メッセージを再生するが、いつもより早口の真美が同じことを繰り返すだけだった。

ーようやく目が覚めたって…。また、何かあったのかよ。

以前、留衣から、真美の結婚式の時の写真を見せてもらったことがある。

大きなウエディングケーキの横で微笑む新郎の顔は、どこからどう見てもいい人に見えた。そしてその横で微笑む真美は、この上なく幸せそうで、まさにお似合いな夫婦だった。

あんな素敵な夫婦が、まさかモラハラ加害者と被害者だなんて、にわかには信じられなかった。しかし、その後モラハラについて調べると、加害者の多くは、周りからは「とてもいい人」に見えるため気付かれないことが多いとあり、妙に納得したのだ。

留守電に残った真美の声は、あの時のおどおどした話し方ではなく、覚悟を決めたような強い口ぶりだった。こちらからの連絡をシャットダウンするような言葉にも、きっと何か意図があるのだろう。

ー真美から連絡があったこと、留衣にもすぐ電話で伝えた方がいいな。助けが必要な時は、全力で力になってやらなきゃ。

「…?」

もうすぐ会社に着く交差点で、ふと何かの気配を感じ、颯太は足を止めた。向かい側の道路に停車中のタクシーから、乗客の男がこちらを見ている気がする。

「あっ!」

あの写真に写っていた新郎に、とてもよく似ていると気付いたときには、タクシーはもう走り出していた。

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