「親を大事にしろ」
人はそう、口を酸っぱくして言うけれど。
生まれてくる親を、子は選べない。
名誉や金にすがった親の“自己愛”の犠牲となった、上流階級の子どもたち。
代々続く地方開業医の娘として生まれた七海(31)も、そのうちの一人であった。
父の死をきっかけに、母は本性をあらわした。そんな母との関係に苦悩する女の、“幸せをかけた闘い”が幕をあけるー。
父の死後、少しずつ様子がおかしくなっていく七海の母・真由美。
七海は、諒太との結婚を決めるが、母は諒太の学歴や生い立ちなど何もかもが気に入らず、断固として認めようとしない。
さらに “親に祝福されない結婚”に対する世間からの冷たい視線に苦しみながらも、ついに七海は結婚式を挙げ、ようやく母から脱却したのだった。
一方、母・真由美の本心とは−?
母の本心
桐谷家に嫁いだ、あの日。
私の心を満たしたものは、愛する男と一緒になったという幸福感よりも、これまで味わってきた苦痛から逃れられたという解放感だ。
結婚披露宴は、帝国ホテルで執り行われた。私は、夫が一目惚れしたというこの極上の笑顔を顔にはりつけて、高砂から会場を見下ろして......
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この記事へのコメント
なんだかんだ結婚してしまったあとは諦めてくれる程度にはイカれてない母親でよかった。