恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.7

「あの女だけは許せない」結婚前夜。新妻が年下エリート夫の“女友達”に感じる、危険な予感

−なぜ今、思い出すのだろう?

若く、それゆえ傲慢だった同級生・相沢里奈の、目を声を、ぬくもりを。

これは、悪戯に交錯する二人の男女の人生を、リアルに描いた“男サイド”のストーリー。

“商社マン”となった一条廉モテを堪能する日々を送った末、3歳年上の美月と結婚。シンガポールで新婚生活をスタートさせる。

しかし日本出張中、偶然にも里奈の夫が女と密会しているところを目撃。さらにその翌日、里奈に誘われ2人で食事をすることに。

そしてそれをきっかけに、ふたりは次第に連絡を取り合うようになるのだった。


美月:「あの女だけは、許せない」


愛する男の変化に気づかぬほど、私は鈍感ではない。

日本への短期出張から戻った廉は、些細だが明らかに違っていた。

どこかソワソワしていたかと思ったら急に私を気遣ったり、どこに行くにもスマホを持ち歩いたり、会話の途中でふいに上の空になって私の声に気づかなかったりする。

−“あの女”と何かあったのだ。

そう、すぐにわかった。

私は彼女…相沢里奈のことを、もうずっと前から知っている。

廉は完全に忘れているようだが、あれは彼と半同棲状態になってすぐの頃。ふたりで一緒に昔の写真を眺めていた時のことだ。

乱雑にまとめられた思い出たちの中に、おそらく卒業する時に誰かが作ったのだろう、廉が所属していたゴルフサークルの記念冊子があった。

若くエネルギーに溢れた男女に囲まれ笑う、まだ自分の知らない時代の廉。私は彼の青春時代を、愛おしいような寂しいような気持ちで夢中で追いかけた。

そんな私に、廉はいろんな話をしてくれた。

…おそらく、彼は無意識だった。

「そういえば里奈が」
「この時も里奈がさぁ」

里奈、里奈、里奈。

いったい何度、彼はその名を口にしただろう。

だから「里奈」の存在が、私の頭に危険分子としてインプットされたのは、至極当然のことなのだ。

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