愛しのドS妻 Vol.9

ドSな妻が急にご機嫌になったら要注意。結婚5年目の夫も知らぬ、美人妻の秘密

イベント会社を経営する平野貴裕(ひらのたかひろ)・35歳は、ほんの出来心から取引先の奈美子と不倫関係に。

すでに関係は解消していたが、別れ際に奈美子から渡された手紙が華に見つかってしまう

華から「奈美子に慰謝料を支払わせるか、そうでないなら離婚する」と迫られた貴裕は、苦肉の策で300万円を肩代わり。さらには高級時計までプレゼントさせられる。

それでも強硬な姿勢を崩さない華に辟易し、再び奈美子と密会してしまう貴裕。しかし華の一大事に妻の大切さを痛感し、奈美子との関係をLINEで一方的に解消する

しかし奈美子が深夜の自宅に電話をかけ、ついに華と奈美子が対峙するのだった。


嵐の前の静けさ


なんて清々しい朝だろうか。

美しく整頓されたリビングで、窓から差し込む柔らかな朝陽に貴裕は思わず目を細めた。

華と奈美子が対峙したあの日から、奈美子はパタリと接触してこなくなった。

華が彼女に何を言ったのかは知らないが、どちらにせよ妻が他の女に言い負かされることなどあり得ない。

貴裕に対していつもそうしているように、整然と、冷静に、時にはピシャリと圧しながら説き伏せたに違いなかった。

どこで身につけたのか、華は昔から交渉の類が抜群にうまい。

相手と対峙した瞬間から彼女の中には確固としたゴールがあり、いつのまにか相手を目的地へと誘導していく。

貴裕がイベント会社“THクリエイティブ”を立ち上げた当初もそうだった。

駆け出しの頃、華は自らのコネクションでいくつもクライアントを見つけてきてくれたのだが、随分と楽しげにただ世間話をしていると思ったら、いつの間にか契約を取り付けていたりして、よく驚かされたものだ。


「…ねぇちょっと、聞いてる?」

コーヒーを片手にぼんやり考え事をしていた貴裕を、華が呆れたように覗き込んだ。

「ああ、ごめん。ぼーっとしてた」

慌てて相槌をうつと、妻はいつになくウキウキとした声で語りかけた。

「いよいよ今日から仕事が始まるの。これから家を空けることも増えるかもしれないけど、理解してね」

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