愛しのドS妻 Vol.8

愛しのドS妻:「私の方が、彼を愛してる」。勘違いした2番手女を一蹴する、本妻の貫禄

華:本妻の貫禄


−やっぱり、ね。

ザ ストリングス表参道『ゼルコヴァ』に現れた奈美子に、私が抱いた感想はそれだけだ。

巻かれていない肩下のストレートヘアは、ナチュラルというより手抜きを感じる。ネイルもお粗末だし、メイクの完成度も低い。

花柄のワンピース姿は精一杯の若さ&華やかさをアピールしたものと見受けられるが、量産品によくある形のそれは、見るからに安いポリエステル素材で垢抜けない。

そして何より、彼女の目だ。

自信なさげに揺れており、強い意思がない。本人に自覚はないのだろうが、こういう女を男は上手に嗅ぎ分ける。そして、二番手に使うのだ。

だいたい会社帰りとはいえ、不倫相手の妻に面会するという、女としてここ一番の気合をいれるべき場面でコレなのだから普段が思いやられる。


「初めまして。平野の妻です」

おどおどした様子で着席する奈美子に、私は左手薬指の大粒ダイヤがよく見えるよう、わざとゆっくり前髪をかきあげてやった。

とはいえ威嚇するまでもなく、奈美子は私の敵ではない。

そんなことは、貴裕が彼女を「この世にいない」などと勝手に抹殺した......


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