ノリオとジュリエット Vol.6

「ガツガツしてて、怖い」京都のご令嬢が、他県出身の庶民女を嫌う理由

ゲーム機器メーカーの京都本社に勤める一ツ橋紀夫(ひとつばし・のりお)は正真正銘の庶民。

“普通”で平凡な日々を送る紀夫だったが、食事会でどこか謎に包まれた美女・萬田樹里(まんだ・じゅり)と出会う

ドライブに出かけたふたりは急速に距離を縮めるが「家まで送る」という紀夫を、樹里は頑なに拒否。

脈ナシだと落ち込む紀夫だったが、樹里から再びデートの誘いが。しかも樹里から大胆なアプローチを受け、紀夫の部屋で一夜を過ごす

しかし翌朝、ふたり一緒に出かけたカフェで、紀夫が3年前に別れた元カノ・一二三薫とばったり再会。

樹里に対する紀夫の好意に気づいた薫は、「彼女はやめた方がいい」と忠告するのだった。


金曜の夜。

暑気払いをしよう、と集まった『フォーチュンガーデン京都』のルーフトップ。

心地よく頬を撫でる夜風は、昼間のうだるような暑さを打ち消すようだ。

はしゃぐ同期たちからひっそり離れ、紀夫はソファ席でぼんやりと空を仰ぐ。すると不意に、夏子に真上から顔を覗かれた。

「また、ぼーっとして」

彼女は楽しげに腰を下ろすと、からかうような、探るような目で紀夫を覗き込んだ。

「聞いたよ、樹里のこと」

不意打ちの追求に、紀夫は照れ隠しで「何が?」ととぼける。すると突然バシッと背中を叩かれた。

「けどあの子、紀夫がものすごい美人と親しげだったとかなんとかって不安そうにしてたで。…まぁ、そんな超絶美女と紀夫が何かあるわけないやんって即答しといたけど」

…まったく、失礼なことを言う奴だ。

思わず「そんなことない」と言い返そうとして、やめておいた。薫のことを正直に言う必要などない。…それも、おしゃべりな夏子に。

「お前のほうこそどうなん?龍之介とは」

攻守逆転するべく紀夫は話題を変え、夏子にニヤニヤと尋ねてやる。

紀夫が彼サイドから聞いた話では、最近、ふたりはデートを重ねているようなのだ。

すると予想通り彼女は急にどぎまぎとし「いいねん、私のことは」などと話を切り上げ、同期の元へと戻って行ってしまった。

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