ノリオとジュリエット Vol.5

3年ぶりに京都へ戻った元カノと偶然の再会。“普通じゃない”人生を送る美女の、光と闇

元カノの忠告


ランチのあと、ふたりは京都の街を鴨川方面へとあてどなく歩いた。

彼女は昨日と今日だけは気晴らしに奮発して『ザ・リッツ・カールトン京都』に宿泊し、明日以降は滋賀の実家に戻るつもりだという。

サングラスをかけ、高いヒールで闊歩する薫を、街ゆく人が揃って振り返る。

時折「あれって…」と囁く声も聞こえるが、薫はまったく気にしていない様子。もう慣れっこなのだろう。

紀夫も薫も、昔とは違う。しかし他愛のない話をしながらのんびりと歩いていると、不思議と学生時代にタイムスリップしたような錯覚に陥る。

遠い昔の記憶は断片的だが、当時の面影がすり抜ける風や空気となって頬を撫でるのだ。


「紀夫、今日はありがと」

左右に水路が配された『ザ・リッツカールトン・京都』の入り口が見えたところで、薫は紀夫の顔を覗き込み、愛らしく微笑んだ。

パールのピアスが揺れ、西日となった太陽に反射する。その眩しさに瞬きをしていると、薫がふと、思い出したように紀夫に尋ねた。
......


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