パーフェクト・カップル Vol.11

匿名で拡散されるデマは、止まらない。SNSに暴かれる人気ママモデルの過去と悲劇

誰もがインターネットやSNSで監視され、さらされてしまうこの時代。

特に有名人たちは、憧れの眼差しで注目される代わりに、些細な失敗でバッシングされ、その立場をほんの一瞬で失うこともある。

世間から「パーフェクトカップル」と呼ばれる隼人と怜子は、一挙一動が話題になり、「理想の夫婦」ランキングの常連として幸せに暮らしていた。しかし結婚6年目、人気アナウンサーの夫・隼人が女の子と週刊誌に撮られてしまう謹慎処分を受けた夫・隼人だったが、彼を陥れたのは、2人の人間の悪意が偶然に連鎖した結果だった。そこに芸能界で絶大な力を持つ香川の思惑が加わり、夫婦のピンチは続くが…。

「世間の目」に囚われ、「理想の夫婦」を演じ続ける「偽りのパーフェクトカップル」の行く末とは?


テレビ局の31階の打ち合わせ室。

一面ガラス張りの部屋からは、東京の街を一望できるどころか富士山まで見渡せる。東京タワーも近くて、夜になると更に美しいだろうな、などと思いながら、私は案内されるがまま、席に座った。

今日は、夫・隼人と共演することになった番組の打ち合わせのため、隼人の勤めるテレビ局に呼ばれていた。

「堀河アナウンサーの収録が少し押してまして、申し訳ありませんが、もう少々お待ちいただけますか?」

そう言いながらコーヒーを出してくれたスタッフに、私は微笑んで「お気になさらず」と答える。

スタッフが出ていくドアの音が聞こえた後、一緒に来た事務所の社長が言った。

「怜子、ちょっと1人にして大丈夫?外で電話してきたいんだけど…。」

その言葉がおかしくて、私は少し笑ってしまう。

「子供じゃないんですから、大丈夫に決まってます。どうぞごゆっくり。」

笑ったままそう返すと、すぐに戻るから、と言って社長は出て行き、私は部屋に1人になった。

社長と仕事を始めて10年以上経つが、こうしてすべての現場に同行してくれるのは初めてのこと。

隼人のことや、友香ちゃんに表紙モデルの座を奪われたりが重なった私の、精神状態を心配してくれているのだと思う。

大勢の所属タレントの総指揮をしている社長が、私のすべての現場に付き合うことがどれだけ大変で、無理をさせているかと思うと、本当にありがたかった。

そんな彼女をこれ以上心配させたくなくて、私は自分が抱えている不安の原因を言えずにいた。

というより、どう説明すればいいのか分からずにいる、と言った方がいいのかもしれない。

―自分でも、何がこんなに怖いのか…分からないんだから。

そう考えながらも、やめればいいと分かっているのに、私は不安に駆りたてられ、また携帯を開いてしまった。

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