パーフェクト・カップル Vol.7

No1.じゃなければ自分が壊れる…。トラウマと闘うカリスママモデルの苦悩

誰もがインターネットやSNSで監視され、さらされてしまうこの時代。

特に有名人たちは、憧れの眼差しで注目される代わりに、些細な失敗でバッシングされ、その立場をほんの一瞬で失うこともある。

世間から「パーフェクトカップル」と呼ばれる隼人と怜子は、一挙一同が話題になり、「理想の夫婦」ランキングの常連として、幸せに暮らしていたが結婚6年目、夫が女の子と週刊誌に撮られてしまう。夫が番組での釈明会見をして何とか危機を免れたように思えたが、夫には2週間の謹慎処分が言い渡される。

「世間の目」に囚われ、「理想の夫婦」を演じ続ける「偽りのパーフェクトカップル」の行く末とは?


「ちょっとこれ見て!怜子さんのフォロワー数を、友香が超えたわ!」

撮影スタジオの地下駐車場。

車の後部座席でマネージャーを待っていた私は、不意に自分の名前が聞こえてきて、声の方を振り返る。

声の主は、後輩ママモデル・友香ちゃんのマネージャーとスタイリスト。私の車の窓にスモークが貼ってあるせいで、私が乗っていることが分からないのだろう。

しかも運転席の窓が少しだけ開いていて、彼女たちの声が私に筒抜けになってしまっている。

「友香は怜子さんを超えたいとか言ったことないし、気にしてもいないだろうけど、ついに、だわ!すぐに編集部も気が付くだろうし、友香の時代がきちゃうかも!」

興奮して早口でまくしたてるマネージャーに、スタイリストがキャー!と言う声で大げさに同調する。すると「お待たせしましたあ」という友香ちゃんのんびりした声が聞こえた。

「友香、何してたのよ!すぐインスタチェックして!はやく!」

マネージャーの声がさらに大きくなり、コンクリートに覆われた駐車場にこだましていく。私はそれ以上聞いていられず、腕を伸ばして窓を閉めるボタンをそっと押した。窓が完全に閉まる音と同時に私は脱力し、背もたれに倒れこむ。

まるで水中に潜ったように静かになった車内で、私は自分に沸き起こった感情に焦ってしまう。

―こんなに悔しいなんて。

フォロワー数なんて、気にしてなかったはずなのに。私は携帯を開き自分のインスタ画面を開く。40万を少し超えたフォロワー数。そして友香ちゃんは、私より、1,000人多くなっていた。

SNSのフォロワー数が人気のバロメーターであることは、今の時代の常識。

SNSでの影響力が、すぐにキャスティングに反映される。雑誌は勿論、テレビも企業CMもそうだ。

私がここ数年ずっと、売り上げNo.1のママ雑誌の看板モデルで居られたのも、ママモデルの中で一番フォロワーが多いから、ということが少なからず影響しているはずだ。

―このまま…友香ちゃんに負ける?

そう思った瞬間、胸がカァッと熱を持った。

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