SPECIAL TALK Vol.40

~“人の移動”までも劇的に変化する未来がもうそこまで迫っている~

2020年のニューリーダーたちに告ぐ

長らく技術革新がなかった車椅子の世界に突如現れた「WHILL」。近未来的なフォルム、直感的な操作性、高い走破性を兼ね備える電動車椅子を開発したのは、医療や福祉とは無縁のエンジニア集団だった。

その中の一人、杉江 理氏は、「WHILL」製作をきっかけに、「すべての人の移動を楽しく、スマートに」というミッションを掲げ、WHILLを立ち上げる。「あらゆる人が『WHILL』のような乗り物を利用する時代が必ず来る」と語る杉江氏。

技術革新により目まぐるしく進化する世界を、ニューリーダーはどのように生き抜くのだろうか。

杉江 理氏 WHILL,Inc.CEO

1982年、静岡県浜松市生まれ。日産自動車開発本部を経て、中国・南京にて日本語教師に従事。その後2年間世界各地に滞在し、帰国後新規プロダクト開発に携わる。元世界経済フォーラム(ダボス会議)GSC30歳以下日本代表

金丸:本日はお忙しいなか、ありがとうございます。

杉江:こちらこそ、お招きいただき光栄です。

金丸:杉江さんは今、アメリカにお住まいだそうですね。まさか、今日のためにわざわざお越しいただいたとか。

杉江:いえいえ(笑)。でも今日はこのあと、すぐアメリカに帰ります。

金丸:そうですか。今日は3代続く日本料理の名店『日本橋ゆかり』をご用意しましたので、日本の味を存分に味わってからフライトに臨んでください(笑)。

杉江:ありがとうございます。料理もとても楽しみです。

金丸:杉江さんは、電動車椅子に革命をもたらす次世代車椅子「WHILL」の開発をされています。しかもWHILLは、従来の車椅子のように障害のある方だけでなく、健常者に向けたプロダクトでもある。

杉江:そうですね。医療・福祉器具という枠を超えた「一人乗りの新しい移動体」というコンセプトを掲げています。

金丸:WHILLを拝見したのですが、まずデザインがかっこいいですよね。

杉江:ありがとうございます。「車椅子に見えないデザイン」にしようと、見た目には本当にこだわりました。

金丸:走りも非常にスムーズですし。

杉江:機能性にもこだわりました。WHILLの前輪は独自に開発したもので、24個の小さいタイヤでできています。小回りが良く前後左右に動き、その場で回転することもできます。パワーもあるので、でこぼこ道や芝生も走れるし、5センチの段差も乗り越えるので、利用者から「行動範囲が広がった」と喜んでいただいています。

金丸:素晴らしいですね。人やモノの移動はこれから劇的に変わっていくはずなので、その最先端にいる杉江さんのお話を伺うのが楽しみです。

杉江:そんなに大した話はできないと思いますが、よろしくお願いします。

金丸:早速ですが、出身はどちらですか?

杉江:静岡県の浜松市です。

金丸:浜松で生まれ育ったことが、今の自分に何か影響しているなと感じたことはありますか?

杉江:そんなに意識したことはないですが、子どもの頃から「やらまいか」という言葉がよく飛び交っていました。

金丸:「やらまいか」ですか?

杉江:「とりあえずやる」みたいな意味の方言です。

金丸:サントリー創業者、鳥井信治郎さんの「やってみなはれ」のような言葉なんですね。

杉江:そうですね。小学校でも中学校でも、先生からひたすら「やらまいか」を浴びせかけられていました。だから、「とりあえずやってみる」みたいな話はよくありました。

金丸:それはいい環境ですね。「リスクを取るな」と言われるより、「やらまいか」と後押しされるほうが、遥かに子どものためになります。

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