SPECIAL TALK Vol.40

~“人の移動”までも劇的に変化する未来がもうそこまで迫っている~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。規制改革推進会議議長代理、未来投資会議構成員、経済同友会副代表幹事、NIRA代表理事を務める。

ネガティブからポジティブに。そして、さらにその先へ

杉江:車椅子は一般的に、ネガティブなイメージを抱かれがちです。でも考えてみれば、昔は目が悪いだけで差別されていた時代がありました。メガネが生まれ、視力の問題は解決したものの、「メガネはダサい」という理由で、いじめの対象になる人もいた。でも今はおしゃれなメガネが次々に出てきて、伊達メガネをかける人さえいます。メガネがファッションアイテムとして受け入れられているのです。

金丸:グーグルグラスや様々なセンサーを搭載した「JINS MEME」など、メガネはウェアラブルデバイスとして、さらに進化していますよね。

杉江:ネガティブだったものがポジティブになり、さらにその先に進んでいく。車椅子もメガネと同じように、障害の有無や年齢に関係なく、誰もが乗りたくなるモビリティにしたいんです。車の自動運転が注目されていますが、自動運転が当たり前になれば、交通インフラは確実に変化します。

カーシェアのサービスがさらに進んで、車は公共物になるかもしれない。自分が所有する車でドア・トゥ・ドアを移動するのではなく、自動運転のシェアカーで幹線道路を移動し、そこから目的地までの残りの短い距離を、パーソナルモビリティで移動する。まさにWHILLの出番です。

金丸:テクノロジーは急激に進化しています。そんな未来が、もうそこまで来ているのかもしれません。

目標が見つかるまで、楽しいことを一生懸命に

金丸:最後に「やらまいか」の精神をもつ杉江さんから、若い人、とくに起業を考えている人にメッセージをいただけませんか? 日本を元気にするには、もっと起業家が増えないといけません。若い人たちにはリスクを恐れずにもっとチャレンジしてほしいのですが、いまだに安定志向が強いように感じています。

杉江:なかなか難しいですよね。というのも僕の場合、「ここでは生きていけない」と判断して新天地を求めた結果、今に至っているので、リスクを取って成長してきたという自覚がないんです。浜松では生きられなかったから浜松を飛び出し、大企業では生きられなかったから飛び出した、という感じで。

金丸:そういう意味では、より自然に生きるということが大事なのかもしれませんね。損とか得とか考えずに、自分の心の中にあるものを大切にして素直に生きる。

杉江:そうですね。起業することが目的化してもしょうがないですから。起業しないと達成できない目標ができたので、僕は起業しましたが、それまでは楽しそうなことを一生懸命やるのがいいと考えて、行動していたように思います。

金丸:何かに一生懸命打ち込めば、課題も見つかりやすいですし。

杉江:その課題を掘り下げていけば、人生のミッションが埋まっているかもしれません。

金丸:目的さえ見つかれば、あとはがむしゃらに突き進むだけです。今日は面白い話をたくさん伺えました。杉江さんが自然体で生きながらも、人生のミッションにたどり着いたというのは、悩んでいる若い人たちにとって大きな励みになるはずです。本当にありがとうございました。

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