2018.01.25
エビダン! Vol.1港区男子が社会人になって成し遂げた、下克上とは?
「杏奈ちゃんもCAなの?俺、どこかで見たことある気がするんだけど...」
「実は、昔ちょっとタレントみたいなことをしていて...その時のことかなぁ?今は表参道で外資系ブランドのプレスをしています。」
男性陣一同が、ゴクリと唾を飲み込む。
そうだ、彼女をどこかで見た気がしたのは、テレビか雑誌で見ていたからだ。素人にしては可愛過ぎると思ったが、やはり理由があるのだ。
そして僕は、ここから完全にプッシュモードに入る。
「杏奈ちゃんは、どこに住んでいるの?」
「今は中目黒です。サトシさんは?」
「僕、恵比寿だよ。近いじゃん!今度飲もうよ!」
恵比寿は交通の便が良いし、渋谷にも六本木にもどこからでも近いので誘いやすい。
女性たちも恵比寿に来るのはハードルが低いようで、「飲みにおいでよ!」と誘うとかなりの確率で顔を出してくれる。
「去年三宿から移転した『セルサルサーレ』って行ったことある?イタリアンなんだけど、前菜の一口パスタとか凝っててかなり美味しいんだ。今度連れていくよ。」
恵比寿には、小洒落たイタリアンや和食屋がたくさんある。こうやって誘えば、大概の女性は少なからず興味を示してくれるのだ。
嬉しい〜と言いながら喜ぶ杏奈を見て、心の中でニンマリとした。
その後も裕太との抜群のコンビネーションで場を盛り上げ、杏奈はそれを見てクスクスと笑っていた。
僕は根っから社交的な性格であり、こうやって皆を盛り上げる姿を女の子たちは「かっこいい」と思ってくれるようだ。
そうやって28年間生きてきた、この時までは―。
◆
杏奈と出会った、その週末。
買い物がてらに行った東京ミッドタウンで、僕は信じられない光景を目の当たりにした。
『オランジェ』前あたりで、一際目を引く女の子が歩いていた。僕はすぐに杏奈だと気がつき、大きな声で「あんな〜」と呼ぼうとしたが、その背後に、一人の男性がいることに気がついた。
杏奈は笑顔で一生懸命話しかけているものの、その男性はどこか仏頂面で、しかも早足で歩いている。
—なんだ、アイツ……?イヤな感じだな。
そう思いながらよく観察していると、杏奈がその男に対して向けている笑顔と、僕に対して向けていた笑顔は全く別物だと気づく。
—杏奈には、彼氏がいたのか...
せめて杏奈にぶっきらぼうな態度を取っている男の顔を見ておこうと少し歩いたところで、思わず息を呑んだ。
その男は、学生時代の友人・龍太だったのだ。
「りゅ、龍太!?」
「あれ・・?サトシ?」
振り返った龍太は、見違えるほど垢抜けていた。
昔龍太とは同じ学部だったが、僕と裕太が所属していた派手な広告サークルに門前払いされた、イモっぽい男だった。それでも一生懸命僕たちのグループに喰らいつこうとしていた、そのくらいのイメージしかない。
しかし目の前にいる龍太は、明らかに自信に満ち溢れていた。イモっぽさは払しょくされ、先ほど買ったと思われるジョンロブの紙袋を抱えている。僕の、憧れのブランドだった。
「あれ〜?サトシさん?こんなところで会うなんて。リュウ君と知り合いなの?」
「え?杏奈、サトシと知り合い?学生時代の仲間だよ。」
“杏奈”と呼び捨てにする龍太にツッコミを入れたくなるし、“リュウ君”という呼び名も気になる。何よりも龍太の発した“仲間”という言葉も少し気になった。
「二人は、付き合っているの?」
あくまでも冷静に言ったつもりだが、僕の声は少し上擦った。
「杏奈と?違う違う!付き合って“は”いないよ。」
龍太の言葉に悲しげな表情を浮かべる杏奈を見て、僕はものすごく悲しくてやるせない気持ちに包まれる。
一体、龍太は何なんだ?どうしてこんなにも変わったのだろうか。
「今度、飲みにでも行こうよ。せっかくだし。サトシはどこで働いているの?俺、この近くで働いているから。」
そう言って龍太が告げた会社名は、誰もが知っている外資系投資銀行だった。
▶NEXT:2月1日 木曜更新予定
エビダンvs港区男子の戦いがいざ始まる
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
【エビダン!】の記事一覧
2018.04.10
Vol.13
「ずっと、何かを探していた」。くすぶり続けた総合点80点男・エビダンが出した答えとは
2018.04.09
Vol.12
生まれながらのモテ男・エビダン28歳の悩める人生の終着点は?「エビダン!」全話総集編
2018.04.03
Vol.11
金曜23時の恵比寿。大好きな彼女の想定外な行動に、心狂わせられたエビダンの想い
2018.03.27
Vol.10
失ってから気付く、彼女の大切さ。馬鹿にしていた“エビダン”に圧倒的な敗北感を覚えた夜
2018.03.20
Vol.9
エビダン!:“そこそこ”な毎日から抜け出したい…。28歳男の、突然の人事異動で迫られる人生の選択
2018.03.13
Vol.8
たった1本の電話で、恋の行方は決まる。器用貧乏男の“決定力のなさ”が露呈した夜
2018.03.06
Vol.7
男の人生は“28歳”が分岐点?起業したがる男を、冷静に見極める女たち
2018.03.01
Vol.6
エビダン!:「傷つくのが、怖い」港区男子が思わず漏らした、必死に己を守る本当の理由
2018.02.22
Vol.5
“総合点80点”男は、25歳過ぎたら頭打ち。突き抜けて成功したい男に必要な、たったひとつの素質
2018.02.15
Vol.4
女よりタチの悪い、男のマウンティング闘争。“年収の高さと男の価値”は比例するのか?
おすすめ記事
2016.03.07
文具の品格
文具の品格:「仕事できなそう」との一言を払拭すべく、男が手にしたモノとは?
- PR
2024.11.28
仕事に追われる30代男が先輩に教わった、日常を楽しむ贅沢。プレミアムハイボールが楽しめる人気店6選
2018.07.04
年収1,000万の女
35歳、年収1,000万円。ラグジュアリー業界に生きる外資系ブランド女子のリアルライフ
2022.01.21
甘い墜落
プロポーズの4日後。幸せに浸る女がゴミ箱から見つけてしまったあるモノとは…
2017.07.30
いよいよ明日で最終話!「それも1つのLOVE」全話総集編
- PR
2024.11.27
煌びやかなムードがマストな大人女子会は、青山の絶景を望むダイニングバーで決まり
- PR
2024.11.26
【参加者募集】ビールを愉しもう!東カレ初の「クラフトビール」イベントin代官山を開催
2019.06.07
東京コンプレックス
「愛しているならどうして...」レスに悩む美貌の妻が辿り着いた、最後の切り札
- PR
2024.11.29
2024年の年末休暇は、箱根の温泉×ふぐ懐石で贅沢したい!ご褒美デートにぴったりなホテルとは
- PR
2024.11.29
東京タワーの麓で体験した、ワインと豆腐を合わせたペアリングが斬新過ぎた!
東京カレンダーショッピング
『かに物語』:〆まで楽しめる雑炊の素付き!蟹の旨みがたっぷりと溶け出すかに鍋セットミニ
『肉のABCフーズ』:黒トリュフ塩付!牛タン&A5ランク黒毛和牛を使った極上ハンバーグ
『東京京橋おばんざい醸』:肉を引き立てる3種の塩!A5黒毛和牛を使ったローストビーフ
『かに物語』:海老・帆立・蟹!ベシャメルソースに、各種海の幸をトッピングした贅沢グラタン
『UMIKARA』:薄切り・厚切り食べ比べ!特製出し汁で味わう若狭湾真鯛の鯛しゃぶセット
『パンツェロッテリア』:具材ごろごろボリューミー!フレッシュな野菜と肉感満載のフライドピッツァ
『オリベート』:黒トリュフ香る、口当たりクリーミーな究極のティラミス
『ミホ・シェフ・ショコラティエ』:日本を代表するショコラティエ―ルが作る、 ショコラ好きのための濃厚ガトーショコラ
『LOUANGE TOKYO』:アート感溢れるビジュアル!口溶けなめらかな大人の生チョコレートエクレア(6種)
『レザンファンギャテ』:濃厚でコクのあるニューヨークスタイルのチーズケーキ
ロングヒット記事
2024.11.25
東京レストラン・ストーリー
友人の結婚式で同級生に再会。2次会で盛り上がり、そのままふたりで抜け出し六本木で…
2024.12.01
男と女の答えあわせ【A】
「結婚したい」と強く願っていた32歳女。しかし彼氏にプロポーズされた瞬間に、冷めたワケ
2024.11.29
年収4,000万男子の恋愛事情
「しんどい…」32歳男が幻滅した、付き合いたての彼女からのLINEとは
2024.11.30
男と女の答えあわせ【Q】
交際3年。32歳の結婚願望強めの彼女にプロポーズをしたのに、男が振られたワケとは
2024.11.28
かわいく生きられない女たち
「あの人だって結婚してるのに、私は…」他人の薬指の指輪を見て落ち込む、28歳ワセジョの憂鬱
この記事へのコメント