青田買いのスゝメ Vol.8

「たまには、本能で動いてみなよ」。悩む女を動かした、嫌いな男からのアドバイス

結婚に適した男は、30歳までに刈り取られる。

電車で見かけた素敵な男は大抵、左手に指輪がついている。

会社内を見渡しても、将来有望な男は30歳までに結婚している。

そんな現実に気づいたのが、大手不動産会社勤務の奈々子・28歳。

同世代にはもう、結婚向きの男は残っていない。ならば・・・。

そうして「青田買い」に目覚めた奈々子は、幸せを掴むことができるのか?

先週、不覚にも新入社員・田中への気持ちに気づいた奈々子。田中との進展は・・・。


「あ、日本酒」

奈々子は、『酢重DINING』でメニューをめくりながら、思わず日本酒のページで目が止まった。

数日前、奈々子は田中に誘われてクリスマスコンサートに行った。その日以来、奈々子の中で確実に田中の存在感は増していた。

それは鑑賞を終えて、六本木ヒルズのクリスマスマーケットでホットワインを飲みながら、雑貨を見ていた時のことだった。

小さな女の子が泣きながら奈々子達のところにやってきた。迷子になってしまったようだ。

すると、田中は女の子に駆け寄り「お名前は?」「誰と来たの?」と優しく問いかけながら、近くにあった椅子に座らせた。

いないいないばあをしたりしながら、田中が女の子をあやしていると、雑踏の中から「ありさちゃん」と探し回る両親の声が聞こえて来た。

奈々子が声のもとに駆け寄り女の子の元まで案内すると、両親は安堵の表情で我が子との再会を喜んだ。

その様子を見て、田中が満面の笑みでバイバイすると、ありさちゃんもニコっと笑って元気に去って行った。

奈々子は、田中の横顔を見ながら、根が優しくて心の澄んだ人なんだなぁと、彼の人間的な温もりを感じたのだ。

同時に、田中みたいな人が旦那だったら幸せな家庭なんだろうなと、ふと脳裏をよぎったのだった。

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