エリート亮介の嫁探し Vol.9

エリート男の癒えぬ傷。「あなたとなんて、付き合わなければ良かった」と言い放った女の真意

エリートとはフランス語のéliteが由来で、「選び抜かれた人」という意味だ。

日本で言われる“エリート”とは、学歴が高く且つ年収の高い男性を指す場合が多い。

東京大学出身、その後大学院を経て世界的IT企業のアメリカ本社への転職が決まっている亮介は、まさに世に言う”エリート”。

ビザ取得のため、日本に一時帰国している半年の間に、亮介は日本での婚活を決意する。

しかし、亮介の婚活はなかなか苦戦を強いられた。

サバサバ系女子・香奈に惹かれるものの、彼女の二面性に気づき、女性不信になる亮介。

けれど、恵という彼氏持ちの女性を見て、“恋愛っていいな”と思い始めた。

そんな時、元カノの里緒から「頼みごとがある」と連絡が来る。


ー頼みたいことー

思えば、里緒から頼みごとをされたのは数えるほどしかない。付き合っていた当時も、彼女は会社の先輩であり、亮介にとって“憧れの大人の女性”だった。

どんな小さな仕事でも人一倍真面目に取り組む里緒は、ミスも少なく、上司や部下からの信頼も厚かった。

その上、人が気づかないような細かいところにまで気が回るので、プライベートでも常に先回りして亮介のことを思いやってくれた。しかし、里緒から頼られるようなことは、ほとんどなかったのだ。

ー仕事関連だとは聞いているけど、なんだろう?ー

健太とのグループLINEにメッセージが来たことは、正直少しだけがっかりしたが、それでもやはり、頼られるということが嬉しい。

イスラエル支社とのミーティングが入っていたため、少し遅れることを事前に伝えていたが、結局着いたのは約束の時間から1時間弱過ぎていた。

「すみません、遅くなって。」

麻布十番にある『すぎ乃』の店内に入った途端、温かいおでんのだしの香りにふわりと包まれ、急に食欲が湧いた。

「やっと来たか。」

そう言って振り向いた健太は、何やら慌てながら帰り支度を整え出した。

「ごめん、俺ちょっと今から会社に戻らないといけなくなって。じゃあ一ノ瀬さん、他また聞きたいことがあったらいつでも連絡してください!」

そして健太は亮介の肩にポンっと手をおいて、「俺の分、あとで請求して」と言って、そそくさと帰ってしまった。

ー二人きり・・・ー

思いがけず里緒と二人きりになってしまい、亮介に緊張感が走った。

「亮介、忙しいのにありがとうね。」

昔と同じように呼び捨てにされ、一気に付き合っていた頃に戻されたように感じた。

「いや、全然。こっちこそ、遅くなってごめん。」

亮介も、無意識のうちに敬語ではなくなった。

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