麗しの35歳 Vol.15

麗しの35歳 最終回:彼女の目の前に現れた、モンスター上司という最後の敵。不可能を可能にした女

女性の結婚率は、35歳を境に急激に下降する。

だがしかし。そんな悲観を抱くことは一切なく、麗しき独身人生を謳歌する女がいた。

恭子、35歳。

彼女が歩けば、男たちは羨望の眼差しで振り返り、女たちは嫉妬する。恭子は一体、何を考えているのか?

外資系ラグジュアリーブランドで働く恭子と、部下の周平は、一度は瑠璃子の罠にはまったものの、同僚・理奈の計らいによってようやく距離を縮めた

転職セミナーで、因縁の元彼は恭子にうまい話をもちかける。しかしそこに周平が現れ、恭子の「彼氏」宣言をしたのだった。


「恭子さん、ちょっといいかな。社長が、会わせたい人がいるって」

周平君を見送った後、セミナー会場内を歩いていたら、人事部の同僚に呼び止められた。

「社長が、ですか?」

私が戸惑っていると、社長がパチパチと拍手をしながらやってきて、上機嫌で言った。

「今日の活躍、素晴らしかったよ!我が社の代表として、素晴らしい講演をしてくれて本当にありがとう」

私は笑顔で頭を下げる。そのとき社長の後ろに、見たことのない40代半ばくらいの男性が立っているのに気がついた。

社長は、そうだ、と手を打って、彼を私に紹介した。

「こちらは、新ディレクターだよ」

今までのディレクターがイタリア本社に栄転することが決まったため、来週から新ディレクターを迎えるという話は既に耳にしていた。一体どんな人が来るのかと、近頃社内はその話題で持ちきりだったのだ。

「はじめまして、剛田です」

剛田さんは、爽やかな笑顔で私と握手する。

「僕、外資は初めてでして…逆に教えてもらうことも多いと思うけど、よろしくお願いします」

私は、彼の腰の低い姿勢に感心した。これまで大手の日系アパレル企業で本部長を勤めていたところをヘッドハンティングされたというから、相当優秀な人のはずだ。彼の下で働くのが、心から楽しみだと思った。

それにしても、今日は随分長い1日だった。

大勢の就活生の前での講演や、元彼との確執に蹴りをつけ、起業の誘いを断ったことなど、1日で本当にたくさんのことがあった。

長い闘いがようやく幕を閉じたのかもしれない。そんな安心感と、清々しい達成感に包まれていた。



そして翌週、ついに剛田さんが会社にやってきた。

しかし、私達の前に現れた彼は、社長の前で謙虚な挨拶をした日とは全く様子が違っており、別人のように豹変した。

私の闘いは、まだ終わっていなかったのだ。

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