麗しの35歳 Vol.11

「あなたになら利用されても構わない。」年下男が盲目になった、美しき35歳の女

女性の結婚率は、35歳を境に急激に下降する。

だがしかし。そんな悲観を抱くことは一切なく、麗しき独身人生を謳歌する女がいた。

恭子、35歳。

彼女が歩けば、男たちは羨望の眼差しで振り返り、女たちは嫉妬する。恭子は一体、何を考えているのか?

外資系ラグジュアリーブランドで働く恭子と、部下の周平は一度は距離を縮めたものの、周平の元彼女・瑠璃子の仕掛けた罠にまんまとはまってしまう。

そんな2人のことを、恭子の同僚・理奈は心配しながら見守っていた。


理奈がディナーに誘ってくれるなんて珍しい。話でもあった?」

『ケイスケ マツシマ』で食事をしながら、恭子が嬉しそうに顔を輝かせている。

私が恭子を誘ったのは、プレス向けのイベントもひと段落ついて、ゆっくり女同士で話したかったからだ。本題は周平君のことだった。

「うん、あのね。瑠璃子が、周平君と付き合ってるとか言ってるけど、あれ嘘だよね?」

恭子はそっけなく、さあ、と一言だけ言うと、素知らぬ顔でフォークとナイフを動かしている。

周平君が恭子に恋い焦がれていたのは私も知っているし、恭子だってまんざらでもなさそうだった。だけど周平君が転職してから、2人はすれ違ってしまった気がする。歳は離れているけれど、はたからみたって本当によく似合っていたのに。

いつから自分はこんなにおせっかいになったんだろうと思いつつ、私は恭子に尋ねた。

「ねえ。瑠璃子のこと、あのまま放っといていいの?」

手強い瑠璃子のことだから、恭子と周平君を引き裂いたのは彼女に違いないと私は確信している。

恭子は相変わらずのんびりとした口調で、そうねえ、と言いながら何かを考えるような仕草をしている。私はついにしびれを切らして、恭子に言った。

「もう、いい。恭子が動かないなら、私に任せて!」

そして思い切って尋ねた。

「瑠璃子が、恭子の変な噂をあちこちで触れ回ってるけど、どうせあれも嘘よね?ねえ、本当は前の会社で何があったの?」

ところが、それまでの呑気な態度とは打って変わって、恭子はきっぱりと言った。

「ごめん、その話はしたくないの。忘れたいのよ」

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