麗しの35歳 Vol.12

麗しの35歳、ついに本音と真実を語る。傷ついた過去を乗り越えた先に見えた一筋の光

女性の結婚率は、35歳を境に急激に下降する。

だがしかし。そんな悲観を抱くことは一切なく、麗しき独身人生を謳歌する女がいた。

恭子、35歳。

彼女が歩けば、男たちは羨望の眼差しで振り返り、女たちは嫉妬する。恭子は一体、何を考えているのか?

外資系ラグジュアリーブランドで働く恭子と、部下の周平は、一度は瑠璃子の罠にまんまとはまったものの、同僚・理奈の計らいもあってようやく距離を縮めた

今日はついに恭子本人が、本音と真実を語る。


「恭子、俺の前だけは、完璧な“恭子さん”でいる必要なんてないんだよ」

彼は切れ長の目で、私を愛おしそうに見つめてそう囁いた—。

私には、かつて深く愛した人がいた。今よりも少し若くて、ずっと純粋だった頃。そう、あれは31歳のとき。

彼と出会ったのは、今の会社に転職する前のこと。私たちは同じチームで、お互いにアシスタントマネージャーのポジションにいた。

「恭子、俺の前では、素顔を見せていいんだから。無理をしないで」

優しく笑う彼の言葉に身を委ねて、私は仕事と同じくらい彼との恋愛に没頭していった。

料理の腕を磨いたのも彼のため。ワインを好きになったのも彼が教えてくれたから。彼と過ごすことで新しい自分の一面を発掘できるのも嬉しかった。

ある日2人で、『ビストロ ブノワ』でのディナーを楽しんでいたとき、彼は目を輝かせて私に報告をした。

「恭子。俺ね、次の異動のタイミングでマネージャーになれそうなんだ。目標がひとつ達成できそうで、嬉しいよ」

「やった!おめでとう!」

私たちは手を取り合って喜び、少し特別なワインを開けて乾杯した。

ただのカップルとしてだけじゃなく、仕事でも刺激を与え合い、同じ目標を共有できる関係は私にとって理想そのもの。

20代前半の頃から、他の女の子たちと違って結婚にさほど興味のなかったはずの私が、将来を考えた相手は彼が初めてだ。

だけど当時の私は、世の中を少し甘く見ていたと思う。

この世に、他人を貶めるような醜い感情が本当に存在するなんて思わなかったし、努力は必ず美しいものに形を変えると本気で信じていた。それまで死に物狂いで頑張ったことは必ず結果となって現れていたから。

そして、私を大きく包み込む穏やかな愛情が、刃に姿を変えるなんて想像もしていなかった。だけど、その瞬間は突然やってきたのだ。

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