注文の多い女たち Vol.6

注文の多い女たち:結婚に必要なのは、優れた点の多さではない。「ダメな部分を許せるか」

「最近、良い出会いがない」

未婚・美人の女性に限って、口を揃えて言う言葉である。

しかしよくよく話を聞いてみると、その言葉の真意はこうだ。

「理想通りの、素敵な男性がいない」

フリーランスでバイヤーをしている亜希(32)も、そんな注文の多い女のひとり。

同じく独身アラサーのエミとともに良縁祈願に出かけた亜希は、京都・鈴虫寺の住職に、あれこれ条件をつけず「ふさわしい人」を探すように諭される。

そんなとき、5年前に別れた元カレ・貴志から連絡が届き、亜希はちょっぴり浮かれる。


元カレとの再会


“既に結婚した元カレと再会する”

文字にして並べてみると、なんとも不毛な予定である。

それなのに亜希は、さっきからあーでもない、こーでもないと何度も服を着替え、ヘアスタイルもアップにしてみたりダウンスタイルにしてみたり、鏡の前から離れられずにいる。

「何やってんだろ、私...」

馬鹿馬鹿しい、と自嘲気味に笑うが、それでもやっぱり妙に気合いが入ってしまう自分を止められないのであった。

鏡の前で仕上がった自分をチェックし、亜希は満足げに微笑む。

鎖骨が美しく見えるバーガンディのトップスは、この秋買ったばかりの新作だ。それに、繊細なレースでできたデコラティブなブラックのロングスカートを合わせた。

うん、女っぽくてとても良い。

「少なくとも」と亜希はひとり呟いた。

「絶対、私の方がいい女だわ」

そう、あの、見た目もセンスも「普通」な貴志の妻なんかよりも。

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