注文の多い女たち Vol.13

もう普通の恋愛はできない?何かしらワケ有りな、32歳注文の多い女たちの恋愛事情

「最近、良い出会いがない」

未婚・美人の女性に限って、口を揃えて言う言葉である。

しかしよくよく話を聞いてみると、その言葉の真意はこうだ。

「理想通りの、素敵な男性がいない」

フリーランスでバイヤーをしている亜希(32)は、“ふさわしい人”を探して迷走中。

メガバンク勤務の宮田賢治とデートをするも、「海外志向がない」という一点だけで幻滅。しかし別の女性と仲睦まじく歩く姿を目撃し、嫉妬心から賢治が気になってしまう。

賢治からのストレートな告白に浮かれた亜希は賢治と一夜を過ごすも、「ときめきが足りない」などと不満を漏らしていたある日、賢治と連絡がとれなくなり、亜希はある疑惑に苛まれる。


繋がらない電話


プルルル….

2回、3回、4回… 10回まで粘って、亜希は電話を切った。

「なんで出ないのよ…」

賢治は、「今日は家にいる」と言っていた。それなのにどういうわけか、LINEも一向に既読にならない。

−あの、可愛い彼女と会っているのかもしれない。

追い払っても浮かんでくる疑惑は、時が経つごとに濃度を増していく。亜希の胸をグレーの雲で覆いつくし、息苦しいほどだ。

表参道駅A2出口から地上に上がり、商談先のブティックまで、まい泉通りを歩く。

もう頭を切り替えよう、仕事のことを考えなくちゃ、と思うのに、今すぐ真相を確かめたい衝動から逃れられず、亜希は大きく頭を振った。

−いい大人には、やらなきゃいけないことが他にたくさんあるんだから。

ついさっき、マミちゃんに言われた言葉が思い出される。本当にその通りだ。こんな風に振り回される恋など、亜希は望んでいない。

賢治と向き合おうと思ったのは、彼となら落ち着いた恋愛ができると考えたからだ。

ブティックの入り口で、亜希は救いを求めるようにしてエミにLINEを送った。

“エミ、今夜付き合って!”

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