2017.09.12
彼女になれて、妻になれない Vol.1タイミングを見逃した女の、失敗
「Nao Saitoさんがいいねしました・・・」
雄一郎は、同僚がSNSにアップした海外旅行の写真を眺めながら、ある女性の「いいね」に目が止まった。
斎藤奈緒。2年前の春、雄一郎が半年ほど付き合った女性だ。
奈緒と別れてから1年経った昨年の秋、友人の紹介で出会った麻衣子と交際を始め、つい最近結婚した。
雄一郎は少しの懐かしさと共に、元カノ・奈緒と妻・麻衣子の決定的な違いに想いを巡らせた。
雄一郎が奈緒と出会ったのは、現在勤務する法律事務所だった。
当時、奈緒は雄一郎の担当秘書。彼女のルックスはもちろん、細やかな心配りにも好意を持っていた。
雄一郎の担当している案件に関係しそうな記事のコピーが「参考まで」というメモと一緒に机に置いてあったり、雄一郎がどさっと置いた書類は、案件ごとにファイリングされていたり…。
指示待ちや恩着せがましい秘書も多い中、奈緒のさりげなく、相手が求めていることを的確にやってのけるスキルは、弁護士仲間も「奈緒マジック」と呼んで賞賛していたほどだ。
「家庭でも奈緒マジックを」なんて淡い期待をいつしか抱くようになっていた雄一郎は、2年前に奈緒が丸の内の法律事務所に転職した時に想いを告げ、二人の交際はスタートした。
雄一郎の期待通り、奈緒マジックは遺憾無く発揮された。完璧に、でもさりげなく。雄一郎にとっては、奈緒は理想の彼女、いや妻だった。
しかし、次第に奈緒と雄一郎はすれ違っていく。
奈緒は「全ては結婚のためだと思って尽くしてきたし、雄一郎の仕事を優先してデートだって我慢してきた。それなのに結婚の話が全く出ないのは、雄一郎は私と結婚する気がないんだ」という思いを強めていたのだ。
その頃の雄一郎は、多忙を極めていた。
それもそのはず。雄一郎は、パートナーに昇格出来るか否かの瀬戸際にいたのだ。パートナーとは会社でいうところの役員で、ヒラの弁護士とは年収も数倍違う。
上昇志向の強い雄一郎は、35歳の最年少パートナーに向けて、ここ数年がむしゃらに働いていた。
雄一郎は前々から決めていたのだ。「結婚はパートナーに昇格した後」と。
決して奈緒に対して結婚を渋っていたわけではない。ただ、雄一郎なりのタイミングがあった。
彼の元秘書である奈緒は知っているはずだ。雄一郎は仕事が速くて完璧、秘書や後輩弁護士に的確な指示を出し、難しい案件をまとめあげるリーダーシップもある。無駄な長時間労働とは無縁で、とにかく業務の効率が良くて誰もが憧れる存在だった。
そんな雄一郎が、毎日残業して休日返上、家でも仕事をしているなんて、“何か”あるはずだ、と。
雄一郎の“何か”を冷静に考えたら“雄一郎のタイミング”が近いことを見抜けたかもしれない。
しかし、奈緒は結婚を焦るあまり、雄一郎の状況なんて想像出来ず、自分と結婚する気がないと勝手に判断し、勝手に去って行った。
一方の妻・麻衣子。麻衣子は、貿易会社の事務職として働いている。法務部で働く企業弁護士に誘われて行った食事会で雄一郎と出会った。
お互い読書家で、好きな作家の話で意気投合した2人はすぐに付き合い始めた。
麻衣子は職場で、海外転勤がきっかけの結婚を嫌というほど見てきたし、昇進が決まった先輩がマイホームを購入する姿もよく見ていたため、仕事の転機がライフステージの転機になると想像しやすかったのかもしれない。
雄一郎ががむしゃらに働く姿をみて、彼の”タイミング”に気付き、きっちり見極めた。
そうして麻衣子はあっという間に彼の妻となった。
奈緒に去られた後、雄一郎は奈緒を忘れるため、仕事に没頭した。パートナーになれたのは、奈緒のおかげかもしれないとは…。
なんと皮肉なことだろうか。
▶︎NEXT:9月19日 火曜更新予定
お金はあるのに出し渋る男・俊樹から探る、奈緒が妻になれなかった理由。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
いつまで待てばいいか、ハッキリ言わずに待たされるのは年頃の女性には酷ですよね。
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