エリートとはフランス語のéliteが由来で、「選び抜かれた人」という意味だ。
日本で言われる“エリート”とは、学歴が高く且つ年収の高い男性を指す場合が多い。
企業勤めの30代で年収1,000万を超えるのは上位1.5%、独身となると、さらに絞られる。
東京大学出身、その後大学院を経て世界的IT企業のアメリカ本社への転職が決まっている亮介は、まさに世に言う”エリート”。
そんな亮介が、人生の伴侶として選ぶ相手とは、果たしてどんな女性なのか?
「亮介さんって、彼女いないんですか?」
亮介の隣にいた女性が、興味津々と言った様子で聞いてきた。今日は六本木の『オービカ モッツァレラバー』で食事会だった。
「うん、いないよ」
亮介がそう言うと、間髪入れずに幹事である崇が説明を加えた。
「こんなイケメンなのに不思議でしょ?」
身長182センチで彫の深い顔立ちをしている亮介と、小柄で凹凸のない顔立ちの崇は、正反対の見た目である。そして崇は、こう続けた。
「あのね、コイツ今までずっと海外勤務で、半年後にまたアメリカへ行っちゃうんだよ。だから日本にいる間に、結婚相手を見つけたいんだって」
崇がそこまで暴露すれば、亮介は苦笑する他なかった。
「それで俺は、こうやって出会いの場をセッティングしてるの。でも亮介っていい感じの子がいても、かなり慎重なんだよなぁ」
亮介は「そんなことないよ」と否定したが、崇が言っていることは概ね正しい。
たしかに、亮介はたとえ女性から好意を示されても、なかなかその先には進もうとしなかった。
亮介には女性に対する、あるトラウマがあったのだ。
この記事へのコメント
そもそも性格や信念やらを深く知り合う時間なんかなく結婚しようとしているじゃないか、亮介。無理だよ。
でもどの連載も朝早くから沢山の人がコメントしてて盛り上がってますね。