結婚願望のない男 Vol.15

忘れられない元彼との再会。未だに甘く響く彼の声に、容赦なく傷つけられた日

私の大好きな彼氏には、結婚願望がない。

それを知ったのは、30歳の誕生日。順調な交際を2年も過ごした後だった。

東大卒のイケメン弁護士・吾郎との「結婚」というゴールを、疑うことのなかった英里。彼が結婚願望ゼロと知った日から、不安と焦りが爆発。

度重なるケンカの果てに、とうとう吾郎との破局を迎えた英里。傷心を乗り越え、結婚願望のある男・きんちゃんとの交際をスタートするが、早々にプロポーズともとれる発言が飛び...?


「英里ちゃんも、花嫁さんになる?」

親友の咲子の結婚式の最中、きんちゃんの突然の爆弾発言に、英里は思わず息を飲む。

会話の弾みでたまたま出てしまった軽口なのか、それとも本気で結婚を仄めかしているのか。

思わず顔を見上げると、きんちゃんはいつもの優し気な瞳で英里を見つめていた。しかしその表情は、至って真面目だ。

「最初に言ったけど、僕は英里ちゃんとの関係を、長い目で見たいと思ってるんだ」

きんちゃんは、動揺する英里の先回りをするように、丁寧に続けた。

「お互いもう30歳だし、僕は男としての責任もあると思ってて......。英里ちゃんを急かすわけじゃないけど、僕が将来のことも考えてること、覚えておいてくれたら嬉しいな」

最後にニコリと笑い、恥ずかしそうに目を逸らしたきんちゃんに、英里は胸が締めつけられる思いがした。

「きんちゃん、ありがとう」

英里はきんちゃんに、そっと抱きつく。

柔らかで温かな彼のぬくもりが、英里は大好きだ。この優しさに一生包まれていられるなんて、きっと幸せなことに違いなかった。

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