二子玉川の妻たちは Vol.16

「二子玉川?遠いわね。」白金の妻たちに召喚されて思い知る、上には上がいる現実

結婚は、女の幸せ。

そう考える種類の女にとっても、結婚は必要条件に過ぎない。

結婚しただけでは満たされない。女たちの欲望は、もっと根深いものだ。

これまで、ポーセラーツサロン界でトップの座に君臨し続けてきたカリスマサロネーゼ・マリ。しかし同じマンションの下層階でおうちサロンを営む由美が徐々に力をつけ、目障りな存在となる。

子育てに時間をとられレッスン数を減らさざるを得ないマリは、転写シート販売という手法でトップの座を守ろうとする

しかしすぐに由美も転写シート販売を始めたことを知ったマリは、由美に内容証明郵便を送りつけ、宣戦布告をするのだった。


旧友からの連絡は、マウンティングの始まり。


争うだけ無駄なことが、世の中にはある。

そんなことは、マリもよくよくわかっている。サロネーゼはイメージ勝負の商売である。下手に争って自身の評価を下げるような真似をするほど、マリは低能ではない。

しかし、昔から食えない女だと感じていた永井由美が、マリが考え付いた昨日の敵は今日の友作戦を、そっくりそのまま盗むような真似をしたのが許せなかった。

懇意にしている弁護士に頼んで内容証明を書いてもらったが、裁判沙汰にするつもりなどは毛頭ない。ただ、これ以上私の邪魔をしてくれるな、という意思表示をしておいたまでだ。

―由美が私の意図をしっかり理解してくれれば良いけれど。

インテリア雑貨の買い物を終え、マリはふう、とため息をついて二子玉川ライズのZARA HOMEを後にする。

フロアに漂う甘い香りにつられて『マヨルカ』に立ち寄り、大好物のエンサイマーダを注文しようとしたとき、バッグの中からLINE通話の着信音が聞こえた。

スマホを取り出すと、画面に表示されていたのは懐かしい名前。

―香織?

香織は、独身時代CAをしていた頃の後輩だ。昔は随分とダメ男に引っかかっていたが、その後無事に結婚したのだろうか。

彼女はサロネーゼ達と違いSNSなどをマメに更新するタイプではない。アカウントはあるものの殆ど何もアップされていないため、香織のプライベートは謎に包まれていた。

「もしもし、香織?久しぶりね!」

【二子玉川の妻たちは】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo