二子玉川の妻たちは Vol.13

二子玉川の内乱、勃発?サロン活動に没頭し家事を蔑ろにした妻 vs 夫

二子玉川の乱、勃発。


ある日の夜のこと。レッスンを終えた後のリビングで、由美は転写シートの発送作業に追われていた。

ひと言に発送作業、とい言うが、これがなかなかに時間をとられる。

PC画面で受注リストを確認して納品書を印刷し、必要な転写シートを枚数確認しながら折れないように梱包する。日付・時間指定の有無をチェックしつつ一枚ずつ伝票を手書し、発送メールを送る…。

あっという間に時間が経っていて、玄関から聞こえる「ただいま」という夫・雄太の声で気が付いたときには、時計の針は21:15分を差していた。


―しまった。

そう思ったのと、夫・雄太が「…あれ、夕飯は?」と声を発したのは、ほぼ同時だった。今日は家で食事をする、と言われていたのに、作業に夢中ですっかり失念してしまっていた。

「決して家事を疎かにしない。」

おうちサロンをオープンする時、雄太にそう約束した。

総合商社で懸命に働き、7,000万を超えるローンを背負いながら金銭面で生活を支えてくれているのは雄太だ。由美がサロン経営や転写シート販売で得ている収入は自身のお小遣いに過ぎない。

だから由美には家事をこなす義務があるし、自分が今、好きな仕事ができるのは雄太のおかげ。それはよくよく理解しているつもりだ。だから、すぐに謝ろう。そう思ったのに。

「…はぁ。」

これみよがしにため息をつく雄太の、由美をただ一方的に責める冷たい表情を見て、由美の中で何かがぷつり、と切れた。


翌朝、由美は雄太が家を出て行く音で目を覚ました。

「私だって忙しいのよ!」

やり場のない身勝手な怒りを雄太にぶつけてしまった後のことは、もう思い出したくもない。

泣き疲れてリビングのソファで眠ってしまった由美は、朝を迎えても自己嫌悪に包まれたままだった。

這い......


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