薔薇色のバツイチ Vol.5

バツイチがモテるなんて大嘘?!年下男の飴とムチに、翻弄されるバツイチ女

東京で30代前半のバツイチ女性は、モテる。

とにかくモテて、モテすぎる。

30代前半に限れば、結婚経験のない女性よりもバツイチ女性の方がモテるといっても過言ではないらしい。

計らずともバツイチとなり、落ち込んでいたあゆみ(32歳)だったが、離婚の先には薔薇色のバツイチ生活が待っていた!?

離婚後、男性からの食事の誘いで、あゆみのスマホが鳴りやまなくなった。不思議に思っていると同じくバツイチの松岡から「バツイチ女性はモテる」と説かれる。

次にデートした、結婚前に口説かれていた幸夫には、「離婚するの待ってたよ」と囁かれた。

その後、久しぶりの食事会でも絶好調のあゆみだったが、帰りのタクシーで同乗した年下の男・春馬に「イタい女」と言われ……?


重たい空気が流れる、深夜のタクシーで・・・


「鼻の穴を膨らませてモテ自慢をしているイタい女」

春馬に言われた言葉に、それまでの楽しかった気分は一気に台無しとなった。

深夜の外苑西通りを目黒へと向かうタクシーの中は、気まずい雰囲気で満ちている。言いたい事だけ言って、その後はだんまりを決め込む春馬。彼が何のためにそんな事を言ってきたのか疑問だ。

「私、あなたの気に障る事を何か言ったかしら?」

年上の余裕を見せつけるように、脚を組み換えながら静かに言った。

「そんなんじゃないですけど、なんか見てて痛々しかったんで。あ、痛いって、哀れっていう意味ですからね」

付け足された言葉にもう一度ムッとして、あゆみはそれ以上口を開く気になれなかった。

―イタいなんて、失礼極まりない。なんなのこの男。

春馬は180cm近い身長に育ちの良さを感じさせるような品の良い顔立ちで、食事会での印象は悪くなく、先輩たちを引き立てようとする姿も好印象だった。

だが今となっては、そんな思いは微塵もない。無言のまま、タクシーが目黒に着くのを待った。

交差点を曲がってタクシーが目黒通りに入るとあゆみはバッグから財布を取り出す。

「この辺で停めてください。一人降ります」

目黒駅の少し手前でドライバーに伝えると、財布から千円札を2枚取り出し春馬に渡した。「いいですよ」と言われても、あゆみは意地で引き下がらない。

「お疲れ様」

タクシーを降りてそっけなく言うと、春馬が急に言葉を発した。

「あゆみさんみたいに素敵な女性を、幸せに出来なかった旦那さんは残念な男ですよ」

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