東京イノセントワールド Vol.13

東京では今日も、勝利も敗北もない孤独なレースが淡々と続けられてゆく:東京イノセントワールド最終回

欲望が渦巻き、誰もが成功を願う街、東京。

この大都会に長く住めば住むほど、大切な何かを失っていく気がしないでもない。

東京の独特な空気に飲まれて心の純粋さを失い、幼い頃に描いていた夢を失い、そして本来の自分らしさも徐々に消え失せていく。

長野県から上京してきた美穂と慎吾。大都会に揉まれながら、東京に染まっていく二人は都会の片隅でイノセントさを失わずにいられるのだろうか?

東京出身のマリエに対してコンプレックスを感じていた美穂と、美穂の長野時代の元彼・慎吾。

マリエに惑わされ続ける慎吾だが、後輩・理恵と一夜を過ごしてしまう。そして美穂はマリエと慎吾の衝撃的な写真をマリエから見せられ落ち込むが、理恵にもマリエの魔の手が及ぶ...?


都会で感じる田舎の良さ


「俺いつか東京に出て、成功して、美穂を幸せにしたいんだ!」

「慎吾、本当に?東京なんて、人が冷酷で皆他人に無関心。そして油断したら足下をすくわれて沈んでいく街だよ...」

「だから、いいんだよ。それが東京だから。」



美穂はガバッと布団から飛び起きた。携帯を見ると、まだ朝の5時だった。

「何だ、夢か...」

一人暮らしの狭い部屋を見渡す。まだ朝日も差し込まない薄暗い部屋は、いつも以上に小さく見えた。こんな時、隣に誰かがいてくれたらどんなに良いのだろうか。もちろん、隣には誰もいない。そして今日も、また冷たい街に出て、生きなければいけない自分がいる。

「田舎に帰りたいなぁ...」

地元・長野県には絶対に帰らないと決めていた。社会人になってから、帰省もあまりしていない。ダサくて時間が止まったままの田舎は、もう捨てたはずだった。でも最近、妙にそのダサさと人情味が恋しくてたまらなくなる時がある。

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