東京イノセントワールド Vol.11

東京イノセントワールド:普通の女は戦っても勝ち目がない女に対して、嫉妬すらできない...

欲望が渦巻き、誰もが成功を願う街、東京。

この大都会に長く住めば住むほど、大切な何かを失っていく気がしないでもない。

東京の独特な空気に飲まれて心の純粋さを失い、幼い頃に描いていた夢を失い、そして本来の自分らしさも徐々に消え失せていく。

長野県から上京してきた美穂と慎吾。大都会に揉まれながら、東京に染まっていく二人は都会の片隅でイノセントさを失わずにいられるのだろうか?

東京出身のマリエに対してコンプレックスを感じていた美穂と、美穂の長野時代の元彼・慎吾。マリエに惑わされ続ける慎吾だが、後輩・理恵と一夜を過ごしてしまう。だが、美穂はその時慎吾と一緒にいたと嘘をつき、マリエと慎吾の衝撃的な写真をマリエから見てしまった...


どうして、東京の電車はこんなに暗いのだろうか。

初めて東京に遊びに来て銀座線に乗った時、サラリーマン達の疲れ果てた顔と、皆下を向いて無言で携帯電話をいじっている姿が少し滑稽に見えた。それと同時に、地下鉄に乗っている人たちの暗い顔を見て、何故か悲しい気持ちになったのを今でもよく覚えている。

でもきっと、今の私もその暗い顔をしている中の一人だろう。マリエの戦略にまんまと引っかかり、慎吾とマリエの見たくもない写真を見てしまった。

「何で、慎吾はマリエに引っかかったんだろう...」

ずっとずっとライバル視してきたマリエ。でもやっぱり永遠に叶わないという敗北感と、嫉妬と怒り。複雑な感情が入り混じっていた。

「マリエだけは絶対にやめてと言ったのに...何でなの...」

顔を上げた時、電車の窓に映った自分の顔に驚いた。気がつけば、いつの間にか泣いていたからだ。結局、男は皆マリエになびく。それが悔しくて、でも勝てなくて、東京の冷たくて暗い闇に引きずり込まれそうだった。

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