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みりんと俺 Vol.4

「部屋にみりんがある男は、浮気してるらしいよ」商社マンにかけられたあらぬ疑惑

ようやく付き合えたと思った彼女が、「もう顔も見たくない」と言い、俺の部屋を出て行った。

そんな彼女の気配が98%消えたガランとした部屋で、気を紛らわすために開けた、キッチンの戸棚。

そこにあったのは調味料。しかも、目についたのは、自分で買った覚えのない、何度か遊んだだけの女が残していった「みりん」。

部屋に残された、みりんと俺。

みりんを見るとあの女を思い出して、ムカムカしてきた。捨てようかとも思ったが、所在無げにしているみりんを見ると何だかやる気がなくなった。

冴えないSE・健太郎は典子にふられるが、料理を始めて何とか自分を取り戻す。今回は、元カノ典子が好きになった男・マサシの話―。


典子「マサシから返信がない…。」


最近、Facebookで健太郎が「いいね!」を押す投稿に、前川と言う女の料理写真が出てくる。後ろにあるキッチンは、どう見ても健太郎の家だ。

あの奥手で冴えない健太郎に新しい彼女ができたのかと思うと、胸がぎゅっとわしづかみにされた気分だ。

健太郎と付き合っているときに出会っ......


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みりんと俺

半同棲していた彼女が、「他に好きな人ができたの」と言い、俺の部屋を出て行った。

彼女の気配が98%消えたガランとした部屋で、気を紛らわすために開けた、キッチンの戸棚。

そこにあったのは調味料。料理をしない俺には関係のないものだと思ってた。塩や胡椒は食べる時に使うのでわかる。ただ「みりん」だけが見覚えがなかった。

部屋に残された、みりんと俺。

みりんを見て、料理ができるようになると、何かが変わるかもしれない。そう思ったんだ。

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