みりんと俺 Vol.3

無性に食べたくなってナポリタンを作った非リア男子が、その写真をLINEで送った相手は?

半同棲していた彼女が、「他に好きな人ができたの」と言い、俺の部屋を出て行った。

洋服や化粧品など彼女の荷物は、知らぬ間にダンボールにまとめて送られていた。

そんな彼女の気配が98%消えたガランとした部屋で、気を紛らわすために開けた、キッチンの戸棚。

そこにあったのは調味料。料理をしない俺には関係のないものだと思ってた。塩や胡椒は食べる時に使うのでわかる。ただ「みりん」だけが見覚えがなかった。

部屋に残された、みりんと俺。

みりんを見て、料理ができるようになると、何かが変わるかもしれない。そう思ったんだ。

料理を始めようと決意し、初めて炒飯を成功させて気分を良くした健太郎。次に挑戦する料理は…?


仕事に邁進する健太郎「男は別フォルダ、女は上書き保存」


初めて作った炒飯は大成功だった。

気を良くした俺はめきめき腕を上げ、ブログ「オタクSEの料理道」を開設すると月間100万PV突破!書籍化されることになり、発売時のインタビューで記者の質問にこう答える。

「別れた彼女が残していったみりんを使い切ろうとしたのが、料理を始めたきっかけです。」

なーんて、そんな人生うまくいくはずはない。

あの日以来、仕事に忙殺される日々が続き、料理する時間は皆無だった。

なぜなら、3年かけてやっているプロジェクトの運用テストが大詰めの段階を迎えていたからだ。いつも冷静沈着で頼りになるはずのプロジェクトリーダーも「てんてこ舞い」状態。若いチームの中で年次の高い俺が必然的にメンバーの面倒を見ることになる。

それでも、仕事の忙しさに救われる部分もあった。家にいると、未だ典子のことを考えてしまう。

「男は別フォルダ、女は上書き保存。」

とはよく言ったものだ。典子は、商社マンの彼氏とうまくいっているのだろうか。

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