エビージョ! Vol.6

エビージョ!:住む場所で異なる恋愛観。優越感のために、女は女子会で小さな嘘をつく

そのブランド力に惹かれ、多少背伸びをしてでもセルフ・ブランディングのために恵比寿に住む女性がいる。

恵比寿に生息する恵比寿女子、通称、“エビージョ”。

一見華やかに見える彼女たちには、窺い知れない裏の顔がある。

そんな典型的なエビージョであるマナミは、年収1,000万円のテレビマン・裕太でも何か違うと思っていた。しかしそんな中、港区女子・楓と共に現れた目黒女子・早希の出現にマナミは...


人の物になると市場価値は一気に上がる


裕太の鼻の下が伸びた顔を思い出し、仕事が手につかなかった。

「マナミちゃん、いつも仕事でミス少ないのに珍しいね。恋の悩み?」

ニヤニヤしながら佳奈恵が聞いてくる。テレビマンごときに振り回されているとは杉並区女子には言いたくなくて、(もっと上のレベルの人と付き合うのがエビージョだと思わせたいので)思わず言葉に詰まる。

「べ、別に。ただ、裕太って意外にいい物件だったのかな〜?と思って。」

裕太は私に対してあんな顔を見せたことがなかった。でも、目黒女子・早希に対してはいつもの毒舌も何処へやら、完全に目尻が下がっていた。

「何で人の物になった瞬間に良く見えるんだろう...」

正確に言うとまだ人の物にはなっていないが、誰かに取られるかも、と思うと急にその人が良く見えるから不思議なものだ。考えてみると、テレビ局の正社員で年収1,000万円でも十分かもしれない。一生安泰の日系企業だ。もはや喜ばしく思うべきなのだろうか。

裕太のことを考えているのか、早希への対抗心なのか分からないが、自分の中で裕太の価値が上がったことだけは確かだ。


隣の花は、赤く見える。

たかだかチューリップ程度だと思っていた裕太が、今では真っ赤に咲き乱れる薔薇のように見える。

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