青山ヒロム Vol.13

青山ヒロム:金木犀の香りの中で。ラグジュアリーな夜が弾けた先にあるもの

青山ヒロム。38歳。年収4,000万。恵比寿で眼科を開業中。

これは、東京で咲き誇るゴージャスな女たちと、アンタッチャブルな男たちが繰り広げる、ファンタスティックで時にはHARD THINGSなLOVE AFFAIR。

ヒロムは23歳から37歳まで、4人の女性で安定したポートフォリオを組んでそれなりに楽しんでいたが、男友達・植木くんからヒロムの心の平穏を脅かすと指摘された、女友達で元カノ32歳ホテル会社勤務「慶子」。

慶子から距離を取り、他の女性に目を向けたヒロム。慶子と別れた後、出会った女性は数知れずだが、正式な彼女としては、遥が初めてだった。


ラグジュアリーな夜が弾けた先にあるもの


人口約1,360万人、日本の都道府県の中では人口が最も多く、全人口の10%以上が住んでいる首都・東京。

そんな東京で一体日々いくつもの恋が浮かんでは消え、消えてはまた浮かんでいるのだろう。

数々ものLOVE AFFAIRを派手に繰り広げられてきた年頃の男女も気がつけば、SNSでの連日の「ご報告」に次ぐ「ご報告」。そしてやがて、妻となり夫となり、母となり父となる。ラグジュアリーな夜が弾けた先には、どんな世界が広がっているのだろうか?

見事なうろこ雲が空に大きく広がる10月の土曜日。

僕と遥は、大手町にある「AMAN東京」に向かう途中にいた。

僕たちは、あの夜、多少見切り発射ではあったが付き合い始めた。30代も後半に差し掛かっている男女が交際をスタートするいうことが何を意味するのか、それなりに分かっていたつもりで、それなりの覚悟とそれなりの気持ちをもってはいたつもりだったが、僕の決意は裏切られることは無かった。

遥は、常に冷静で彼女の大人な対応に救われることは多かった。しかしながら、その言外に潜む遥の意思や希望も、僕に遠慮して飲み込む強がりがあることも、交際スタートからそんなに時間が経たず察することができた。それは優しさであると同時に、相手から疎ましく思われない為の37歳の女性の知恵でもあり自己防衛でもあるのだろう。

いずれにしても、あれから僕たちはうまくいっていた。


車は、日本橋の交差点に差し掛かった。日本橋三越、マンダリンオリエンタルホテルに通じる道は、休日の秋晴れの午後を楽しむ人で溢れていた。

「花嫁さんだね。」

助手席の遥の声で、窓の外に視線を移す。

見ると、ウエディングドレスの花嫁が、日本橋三越の重厚な建物の前でフォトシューティングをしていた。秋晴れの澄み通った空気の中で、真っ白なウエディングドレスが眩しく行き交う人が足を止めて目線を送っている。

しかし、僕は、その花嫁の神々しい美しさ以上に、その側にいる黒いスーツに身を包んだスタッフらしき数人の中にいた、見知った顔に釘付けになった。

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