SPECIAL TALK Vol.14

~空気を読みすぎない、その姿勢が突き抜けたサービスを創造する~

歴史を変えるような仕事がしたい。その一心でキャリアチェンジを行う

金丸:それで、韓国のハンゲームジャパン株式会社(現LINE株式会社)に入社されるわけですね。見事にキャリアが繋がっています。この会社を選ばれたのは、韓国企業だからというほかに、何か理由があったのでしょうか?

森川:ソニーにいた頃からずっと、日本の歴史を変えるような仕事をしたいと思っていました。そこで着目したのが、ゲーム業界。この業界ならイノベーションを起こせるのではないかと思ったのです。2003年にハンゲームジャパンに転職したのですが、ちょうどその頃、ソーシャルゲームの走りのようなものが少しずつ出始めていて、私も転職してすぐに、無料でゲームを提供し、アバターという仮想のキャラクターで収益をあげるという世界初のビジネスモデルを確立することができました。

金丸:当時のことは私もよく覚えています。そこから、まさに世界を変えるLINEが生まれるわけですが、どのような背景で開発されたのですか?

森川:ゲームである程度成功したので、会社として次は「検索」に乗り出そうということになりました。Googleをベンチマークしていたのですが、技術力や資本力を見ても到底勝てそうにない。もし勝機があるとすれば、ソーシャルと検索を結びつけて、新たなプラットフォームを構築することだと考えました。そうして生まれたのが、LINEです。

金丸:そのような経緯があったのですね。まさに、通信の在り方を大きく変えたコンテンツだと思います。世界への普及速度を見ても明らかです。

通信の次のトレンドは動画。プラットフォーム作りの重要性とは

金丸:通信の世界にイノベーションを起こした森川社長が、今年LINEを退任されたのには驚きました。

森川:辞めることを決断したのは、1年半ぐらい前です。LINEで業界にインパクトを与えることができ、通信の世界を変えることができたので、別の分野で次の一歩を踏み出したい、という気持ちになりました。しかし、ビジネスを立ち上げようと思ってはいたものの、業界が定まっていませんでした。ヘルスケアや教育、エネルギーや農業など、課題がまだ残っている分野をいくつか検討しましたが、私自身経験がまったくない分野なので、本格的にやるとなると5年以上はかかるなと。もっとスピーディーにできないかと考えたとき、これまでの経験を活かせるメディア業界というのが視野に入ってきたんです。それで、C Channelを立ち上げました。

金丸:森川さんのヒストリーを伺っていると、非常に納得感のある選択だと思います。若い女性向けの動画メディアというC Channelの発想は、非常にユニークですよね。これは、いつ思いついたのですか?

森川:メディアを作る際に重要なのは、LINEと同じようにプラットフォームを作ることです。そういった視点で世界を見てみると、インターネットの世界で今後可能性があるのは、動画だろうと思いました。動画というのは基本は横長の比率ですが、いまやスマートフォンで撮影する人が増えている。だから、画面を横長から縦長にするだけで、すごく新鮮に感じるのではないか、と気づいたのです。そこから、ソーシャルと縦長の動画を組み合わせた新しいモデルを作ろうということになり、2014年の年末に動きだしました。アイデアを資料にまとめて、いろいろな方に説明して回り、3カ月で5億円の資金と社員を集めました。年明けから一気に開発をスタートし、2015年4月10日にサービス開始という、すごいバタバタ感でしたね。

金丸:スピード感がすさまじいですね。それだけの資金を集めることができたのも、森川社長だからと言っても過言ではありません。

森川:考えながら、作りながら、プロダクトを出すという形でやってきましたね。通常ベンチャーの多くは、ひっそりと開発を行い、結果が見えてきたら資金調達を行い、成長速度を上げていくというものです。しかし、私の場合、良くも悪くも世間から注目されていたので、最初から結果を出さないと「あいつ終わった」と言われてしまいます。非常に難しいところがありました。

金丸:確かに、森川社長の動向は多くの人が注目していました。もっと言えば、失敗することを手ぐすね引いて待っているような人もいそうですね。

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