SPECIAL TALK Vol.14

~空気を読みすぎない、その姿勢が突き抜けたサービスを創造する~

自分の市場価値を冷静に捉え、価値を高めていく

金丸:ところで、日本テレビを辞められたのは、どのような理由からですか?

森川:当時はコンピューターの仕事が半分、もう半分は新規事業の仕事をしていました。新規事業は非常に楽しくやらせてもらっていたのですが、ふと疑問を感じるようになったんです。

金丸:どのような疑問だったのですか?

森川:テレビ局の仕事はあくまでもテレビのビジネスが主流で、それ以外は本業ではない。つまり、リソースはどうしてもテレビに割かれます。新たな事業を立ち上げても、二の次にされてしまっていました。次第に、新規事業に注力する会社に行きたいと思うようになり、2000年に思い切ってソニーに転職しました。当時のソニーは、とにかくコンテンツと端末を繋ぐことをやっていまして、まさに私が望んでいた環境が整っていました。また、その頃結婚して子どもができ、家を購入したタイミングだったので、「ゼロからスタートしたい」という気持ちが芽生えたのです。

金丸:ある意味、日本テレビでのキャリアを捨てたというわけですね。普通、そこまでしたがらない人も多いと思います。結婚して子どもが生まれて、というタイミングではなおさらです。

森川:正直、日本テレビでは満足のいく給料をいただいていました。しかし、自分がいったいどれだけの市場価値があるんだろうと思い、転職サイトで年俸を査定するサービスを試してみたんですね。そしたら提示されたのは、当時の年収の半分ほど。一歩会社の外に出れば、自分の市場価値は想像以上に低いんだと思い知らされました。

金丸:ソニーでの年収はどうだったのですか?

森川:日本テレビの時よりも結構下がりましたね。だからこそ、実績を残して給料を上げようと奮起しました。

金丸:順調なキャリアがあったにもかかわらず、市場価値を高めようと転職されたわけですね。非常に真面目なお考えですね。

森川:そんな大層なことではありません(笑)。結果的に、ソニーでも日本テレビ並みの給料まで上げることができました。

金丸:それはスゴイ。

森川:ソニーを選んだのは、いまアップル社が行っているようなメディアの仕組み自体の変革が、遅かれ早かれ起こるだろうと予期していたからです。一番近いことができる会社はどこかと考えた結果が、ソニーでした。

金丸:なるほど。ソニーでの仕事はどうだったのですか?

森川:テレビやオーディオをインターネットに繋ぐという部署に入ったのですが、いざ入ってみると誰もやりたがらない。それで、内部で結構揉めてしまって、私も上司とよくケンカしました(笑)。結局、他の部署がブロードバンドの事業を手掛けるというので、籍を移すことにしました。そこで、トヨタと東急とのジョイントベンチャーの立ち上げに携わるようになりました。

金丸:どんどん仕事の幅が広がっていったのですね。

森川:ケーブルテレビと光ファイバーを繋いで、そこにコンテンツを配信するというプロジェクトだったのですが、3年ほどやらせていただき、自分でも大きく成長できたと思っています。何より知見を広げることができましたし、ブロードバンドというのは、韓国が一番進んでいるということも知りました。

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