2015.09.21
SPECIAL TALK Vol.12道を切り拓くのは無謀とも思えるチャレンジ力
金丸:鈴屋を退職後、1983年に『TSUTAYA』の前身となる『蔦屋書店』を創業し、1985年にはCCCを設立しました。現在、Tカードの会員数は5,500万人近く(2015年7月時点)、各地に『蔦屋書店』をオープンするなど、情報産業の中心的存在となる地位を築いています。ここまで成長を遂げる中で、会社の岐路というと、どのようなことがありましたか?設立10年目の95年には、インターネットも本格的に始まりました。
増田:インターネットが出始めた頃、これから情報社会になっていくのは必然だと思いましたね。こんなに便利で楽しいものはないぞ、と。ネットワークで接続された人たちの生活はより豊かに、より便利になると確信していたので、それを証明するために、97年には衛星放送サービスのディレクTV(*)の設立にも奔走しました。最終的には失敗に終わってしまったけれど、この経験があったからこそ、人脈や知識が一気に広がりました。知的所有権について学ぶこともできたし、いまはチャレンジして本当によかったと思っています。
金丸:増田さんは大きなリスクを伴うことでも、大胆に実行する力がありますよね。
増田:いえいえ。私はギャンブル的というか、ある意味、無謀なだけですよ。逆に金丸さんは、チャレンジングでイノベーティブなことをするけど、同時にリスク管理も徹底していてとても安心感がある。私はどちらかというと、裸一貫でやるようなことばっかりやってますから。無謀なんですよ、無謀慣れしているんです(笑)。
金丸:私は起業家には、ふたつのタイプがあると思っています。ひとつは、手に職をもったタイプで、私はどちらかというとこちら。IT一筋でやってきました。私のような“手に職”組は、経験を重ねれば重ねるほど蓄積されていくわけですが、一方、増田さんは、手に職を持たずにやってきたタイプ。アイデア次第でビジネスチャンスが拡がるということを体現されている第一人者だと思っています。常に時代に沿った企画を立て、繁栄を続けていく必要があるだけに、30年間以上も第一線で活躍されているというのは、生半可なことではありません。
ライフスタイル提案とは需要力の強化にほかならない
金丸:CCCは創業から一貫してライフスタイルの提案をコンセプトに事業を展開しています。いまようやく、その概念が世の中に浸透しつつあるように感じています。
増田:そうですね。ライフスタイルの提案というのは、皆さんがいいな、欲しいな、やってみたいなという需要を創り出すことだと思っています。つまり、需要力を強化すること。それに私たちはずっと取り組んできました。いまの日本は消費が冷え切っています。だからこそ、皆さんの遊び心をくすぐるような新しい提案をこれからもしていきたい。それに一生懸命働くと同時に、一生懸命遊ぶことも大事だということを、特に若い人たちに伝えたいですね。それが自分の糧となり、自身を豊かにするわけですから。
金丸:高度成長期は供給力を拡大することで新たな需要を作り出してきました。でもいまは、供給力を拡大しても需要がない。需要を喚起する魅力的なコンテンツや仕掛けがない限り、供給は伸びていきません。そういう意味で、代官山の『蔦屋書店』や二子玉川の『蔦屋家電』といったお店は、まさに需要力の強化そのものだと思います。
増田:ありがとうございます。東京カレンダーも読者に対して「あそこのお店は美味しいよ」と需要そのものを創り出していますよね。いまの時代のマーケティングというのは、需要力の創造が必須です。私たちは、あらゆるライフスタイルジャンルの中で、一番提案力のある会社を目指しています。
金丸:具体的にはどのようなことをされているのですか?
増田:たとえば普通の書店は、「食」という括りであれば、世界中から集めてきたその分野の本を並べます。でもいまや、これはAmazonの役目。『蔦屋書店』にはそれを編集する人がいて、「医食同源」や「スローライフ」というテーマで切り取り、提案を行う。雑誌を作るかのごとく売り場を編集しています。たとえばアート作品を購入するなら、こういうアーティストがいるよとか、別荘を建てるんだったらこんなのがいいとか、選ぶべき建築家はこの人とか。そういうことを伝える場所にしていきたい。そういう提案をすることで、需要力を強化していきたいと思うんです。
金丸:それは、増田さんが別荘を建てたいからではなく?(笑)。
増田:そうなんだけど(笑)。でも、そういった自分のやりたい、欲しいという思いがすっごく大事なんですよね。その“やりたい”にこそ、答えがあるから。若い人たちは無謀でもやりたいことをやるべきだし、やりたいことをやれば自分自身の経験にも蓄積にもなります。それが主体性を持つことだと思うんです。大切なのは、自分と対話を重ねること。答えは常に自分の中にあることを忘れないでほしいですね。周りの目を気にしたり、周りの意見に流されたりしてはいけません。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2024.12.20
Vol.123
~モデルから放送作家へ。異色の経歴は恐れずに踏み出した証拠~
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
2024.05.21
Vol.116
~多くの人の期待と希望を背負う街づくりほど、面白い仕事はない。~
2024.04.19
Vol.115
~この楽器だからこそできる表現を。歴史ある箏を武器に世界を目指す~
2024.03.21
Vol.114
~勝負の気持ちから感謝の気持ちに。青森の伝統を守り、盛り上げたい~
おすすめ記事
2015.08.21
SPECIAL TALK Vol.11
~できないことは何もない~
- PR
2024.12.19
「彼のこと、気になってきちゃった…」女性との距離が急速に縮まる、特別な気持ちの伝え方とは
2016.02.01
中国ビジネス関係者必携!日本で唯一の中国歳事が全網羅のカレンダー登場
2023.08.02
ハラスメント探偵~解決編~
「あんた、バカじゃないの!」思わず新入社員の腕を掴み、怒鳴ってしまった!これってパワハラ?
- PR
2024.12.20
初心者も楽しめるカジノがアツい!“大人のテーマパーク”「パラダイスシティ」主催のイベントに編集部が潜入
2016.05.19
この手があった!1か月超ステイなら高級サービスアパートメントという選択肢
2023.07.05
ハラスメント探偵~解決編~
「君にはパッションが足りない!」他の社員がいる中で、上司が大声で叱責。これってパワハラ?
2016.04.26
予約受付中!大人のガンダムコラボ ”ザビ家御用達万年筆” で悦に入れ!
2017.04.19
キメの接待はここ!商談を成功へと導く美食自慢の都内名店5選
2023.10.11
ハラスメント探偵~通報編~
“頭をポンポン”しながら「頑張れよ」という上司に鳥肌!ハラスメント相談窓口に駆け込むも…
東京カレンダーショッピング
『かに物語』:〆まで楽しめる雑炊の素付き!蟹の旨みがたっぷりと溶け出すかに鍋セットミニ
『肉のABCフーズ』:黒トリュフ塩付!牛タン&A5ランク黒毛和牛を使った極上ハンバーグ
『東京京橋おばんざい醸』:肉を引き立てる3種の塩!A5黒毛和牛を使ったローストビーフ
『かに物語』:海老・帆立・蟹!ベシャメルソースに、各種海の幸をトッピングした贅沢グラタン
『UMIKARA』:薄切り・厚切り食べ比べ!特製出し汁で味わう若狭湾真鯛の鯛しゃぶセット
『パンツェロッテリア』:具材ごろごろボリューミー!フレッシュな野菜と肉感満載のフライドピッツァ
『オリベート』:黒トリュフ香る、口当たりクリーミーな究極のティラミス
『ミホ・シェフ・ショコラティエ』:日本を代表するショコラティエ―ルが作る、 ショコラ好きのための濃厚ガトーショコラ
『LOUANGE TOKYO』:アート感溢れるビジュアル!口溶けなめらかな大人の生チョコレートエクレア(6種)
『ル・ボヌール 芦屋』:しっとりサクサク!フリーズドライ苺にホワイトチョコをたっぷりと浸透させた新感覚スイーツ